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法廷の息抜きに「松伏百景」・法廷画家の染谷栄さん<われらの自慢>

2008.3.24(松伏町)
ニュース写真
 裁判の“表情”を伝えて15年になる。法廷スケッチにたずさわる人は新聞社やテレビ局など合わせて13人ほどいるそうだが、染谷さんはテレビ朝日と契約を結んでいる。
 スケッチは時間との勝負。法廷は午前10時に開廷し、同11時45分から始まる昼のニュースの絵の締め切りは11時。「私は鉛筆で描き、法廷を出て水彩で色づけして仕上げるので、逆算すると10時20分には法廷を出ないと間に合いません」わずか20分で状況を読みとる観察力と、それを描く早業が要求されている。
 ロス疑惑、オウム地下鉄サリン事件、新潟少女監禁事件、ライブドア、村上ファンド、耐震偽装事件、光市母子殺人事件差し戻し裁判、畠山鈴香被告公判などを描いている。今回お会いし、(あの絵も染谷さんが…)目にしていた数の多さに驚かされた。
 ショックのあまり「手が動かなかった」ことがある。新潟少女監禁事件の初法廷。公表されていた被告人の写真は高校時代のものだった。「それが、写真とは似ても似つかぬ別人同然の被告が入廷し、もう、びっくりしました」ありのままを描いたら間違ったと思われるのではと悩んだそうだが、視聴者には“衝撃の真実”として伝わった。
 画家、フリーのイラストレーターとして広告業界の仕事にたずさわっていたときに、窓口となっていたプロダクションにテレビ朝日から法廷画家の話が持ち込まれ、染谷さんが紹介された。
 「局側からは、しっかり描き込むより簡略化する方がテレビ映りがいいと言われました。絵を描く者にとっては多少不満は残りますが、事件を伝えるという使命感が生きがいになっています」
 伝えられないもどかしもある。「少年だった光市母子殺人の被告人は現在は20代後半ですが、いまだに顔の輪郭も描いてはいけないんです。間もなく判決が下されますがどうなるんでしょう」
 松伏町に生まれ育った染谷さんは、絵画サークル「若潮会」の一員として、“松伏百景”を描き続けている。その成果は毎年、「若潮展」として発表されている。己を殺して冷徹な目で描く法廷絵図を離れ、普通の画家に戻れるひとときでもある。
    
(秋保 洋征)

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