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貴重な水草、野生復帰へ・コシガヤホシクサシンポ開催

2018.10.1(越谷市)
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 80年前に越谷市で発見され、世界的にも例を見ない貴重な水草とされる「コシガヤホシクサ」をめぐる初めてのシンポジウム「越谷で発見された地球の宝物『コシガヤホシクサ』」が9月22日、同市中央市民会館劇場で開かれ、研究者が長年の研究成果を発表した。この中で、絶滅したホシクサの野生復帰には、水生生物からの保護と、土壌分布の改善の2点がポイント――と指摘された。会場にはホシクサの実物も展示されたが、関係者らを勇気づける研究結果だけに、同市などは今後も貴重な水草の野生復帰に力を入れていきたいとしている。

 市制60周年とコシガヤホシクサ発見80周年記念のシンポジウムで、日本の水草研究第一人者の国立科学博物館研究主幹の田中法生さん(48)が、「コシガヤホシクサ野生復帰プロジェクト」と題して発表。田中さんは「世界的にも例を見ない貴重な水草。生育には水深が浅くても深すぎてもダメ」と述べ、同博物館実験植物園や茨城県下妻市の砂沼での実験の結果、「以前は食べる生物がいなかったが、生態系の変化で食べる生物が出てきた。これら水生生物からの保護が重要」と指摘した。さらに、「生育に適するのは、砂の混ざった土壌。その土壌の分布を改善すれば生育するのでは」と研究成果を発表した。また、「野生復帰には、人のつながりが必要。コシガヤホシクサは越谷生まれの地球の宝物。多くの市民に関心を持ってほしい」と結んだ。

 コシガヤホシクサは1938年、旧越ヶ谷町の葛西用水で発見された越谷の名を持つ、唯一の植物。94年には野生が絶滅し、環境省のレッドリストで「野生絶滅」とされている。ホシクサ科の1年草。ため池や岸辺、水中でも生育し8、9月に白い星型の小さな花をつける。

 2008年から、国立科学博物館筑波実験植物園が、環境省のモデル事業として、最後の生息地の下妻市砂沼で「野生復帰プロジェクト」に取り組み、越谷市でも、11年から同市農業技術センターで、同植物園から譲り受けた種を使い実験栽培をスタート。無事に花をつけ、現在も栽培が続けられている。

 シンポジウムでは、越谷市の五十嵐治・環境政策課長が野生復帰を目指す独自の取り組み、NPO法人「越谷市郷土研究会」の渡邊和照会長が「葛西用水路の80年のうつりかわり」それぞれ話した。

 同市千間台西の主婦、山田智美さん(48)は「小学6年の息子の自由研究がきっかけでコシガヤホシクサに家族で興味を持った。貴重な植物であることを多くの市民に知ってもらうことが重要」と感想を話していた。

 同市は、会場で来場者にオリジナル学習帳「コシガヤホシクサ学習帳」(B5判、方眼罫30枚)を記念品として配布した。
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