八潮市

八潮/「垳」伝承の道たどる

「発見と驚きでいっぱい」 方言漢字ウォーキング

 八潮市で11月10日、地域独自の漢字「方言漢字」の「垳」が伝わった道のりをたどる「方言漢字ウォーキング」が行われ、参加した10人が往時をしのんだ。
 同市垳の常然寺を出発し、江戸時代に八潮市垳から東京都台東区に移転した仰願寺までの約12㌔を歩き、「垳地蔵」に参拝するもので、昨年に引き続き2回目。

「垳地蔵」に参拝する参加者ら


 参加者らは常然寺本堂で完歩祈念を受けて出発。垳地蔵が歩んだ道と想定される「下妻道」をたどり、方言漢字「垳」の伝わった意義を考えながら歩いた。途中の北千住(東京都足立区)で在野の研究者が、土地の高低差、なりわいの名残をとどめている町家建築、都電廃線後の敷石を再利用した細い路地など、千住宿の街の形成について説明すると、参加者からは「日頃、意識することなく通過していた場所も発見と驚きに満ちていて、とても新鮮」との声が上がっていた。
 仰願寺到着後は住職から地蔵や縁起の説明を受け、仏前などにともす細く小さい「仰願寺蝋燭」の誕生秘話などを聞いて、楽しいひと時を過ごしていた。

 昨年も参加した岩手県北上市の山口滉平さんは「街が変化したところもあれば、変わらない風景もあり、楽しく意義深かった」と話し、千葉県流山市の大井恵理子さんは「偶然、チラシを見て、地名への関心から参加した。歴史ある地名を残そうとする活動に共感した」と喜んでいた。

 イベントを主催した「八潮の地名から学ぶ会」は「『垳』は全国唯一の地名で、そこから派生した垳川、名字の垳田姓にしか用いられない、方言漢字の代表例」と強調。「以前、地名変更が予定されたことで、地元住民や全国から保存・継承を求める声が集まり、一躍有名になったが、現在も区画整理が進行中で、『垳』の存続について今後の動向に注目している」と指摘。「垳」の地名が消えることに強い懸念を表明した。