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重症障害者施設が開設・直面する親の高齢化

2018. 10.22 (越谷市)
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 今年3月、越谷市内で初めて、重症心身障害児者(重度の肢体不自由と重い知的障害を併せ持つ人)の通所施設「重症児者多機能型デイサービスあすなろ」が、同市恩間新田にオープンした。NPO法人が設立、運営し、たん吸引や経管栄養注入など医療的ケアが必要な人が通所している。全員自力では座れず、移動は車いすで食事、入浴などに介助が必要。医療スタッフが必要なため、施設は不足しており、関係者は今回の開所を歓迎する。一方で、通所者の親の高齢化という問題にも直面している。「親子の介助介護」も懸念される中で現状を追った。

 「あすなろ」は、同市内のNPO法人「合(あい)」(松實宏理事長)が国と市から計2695万円の補助を得て建設した。955平方bの敷地に延床面積200平方bの木造平屋建て。1日の定員は10人。市内と近隣の9人が登録して週5日通っている。全員経管栄養など医療的ケアが必要で、施設のスタッフがサポートしている。

 松實理事長(65)は「重症児者デイサービスは地域福祉に必要な施設、医療的ケアが必要な方はたくさんいるが、医療スタッフの確保が課題で、施設が増えない」と話す。

 現在、通う人たちは、同市恩間にあった地域活動支援センター「ぷろっぷ はあと あすなろ」に通所していた人たち。同施設は「1日の実利用人数10人」の基準を満たさず、2016年度に国、県の補助が打ち切られて事実上解散。昨年度は市が単独で補助金を交付したが、期限付きのため、運営するNPO法人「あすなろ」(小野寺喜久子代表理事)は存続をあきらめた。

 そこに、新施設の「あすなろ」が開設されることになったため、両NPO法人が協議した結果、従来のスタッフや通所者をそのまま、新しい施設に移行することになった。小野寺代表理事(63)は「行き場を失って不安だったが、受け入れ先が見つかりホッとした。スタッフも増え、『音楽療法』など新しいことにも挑戦している」と安堵の表情を見せる。

 しかし、同市障害福祉課によると、市内の在宅の重症心身障害児者は130人(今年4月1日現在)で18歳以上は61人。親の高齢化が目立ち、親が亡くなった場合の受け入れ先などは全くの白紙で将来に不安を残している。


 同市の福岡敏哉・障害福祉課長に聞いた。
 ――市の重症心身障害者対策は。
 市内に医療的ケアが必要な施設は「あすなろ」だけ。必要ない通所施設は2か所。昨年度創設したし独自の「市重症心身障害者受入促進事業費補助金」をそのうち1つに充当し、拡充を図っている。
 ――在宅者への独自の対策はあるか。
 主に「生活介護」で対応し、長時間介護を行う重度訪問介護などのメニューがある。
 ――今後。通所施設顔説は。
 問い合わせは複数ある。市独自で8分の7まで建設費を補助できる。介護者の高齢化で「グループホーム」なども必要なため、事業者の理解を得て施設の拡充を図りたい。


 【記者の目】重度心身障害者の施設は、松伏町下赤岩に越谷市など5市1町が出資し、社会福祉法人「東埼玉」が運営する「中川の郷療育センター」(70床)がある。開設21年目で現在満床。来年度、短期入所(ショートステイ)者を1日2人から5人に増やし、通園も1日5人から10人に増やす。いずれにしてこうした最重度の障害者へは行政の補助、サポートが不可欠だ。                  
(安部 匡一)
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