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三郷/障害あっても安心労働

三郷珈琲焙煎所

三郷市彦成で3月、就労継続支援A型事業所「三郷珈琲焙煎所」(中沢信吾管理者)が本格的に営業を開始した。同市で「子育てがしやすい町づくり」を目指して活動しているNPO法人「みさと」(岩城栄治代表)の運営施設で、障害があっても安心して働ける場所の提供と、一般就労できる人材の育成を目的としている。2月にプレオープンして施設見学と利用者募集を始め、現在、職員4人と事業所利用者1人の計5人で店舗を切り盛りしている。中沢さん(47)は「健常者も障害者もほっとできる場を提供したい」と目標を掲げている。

「三郷珈琲焙煎所」で職員や利用者と店を切り盛りする中沢さん (中央)

ノルマ設けずできること

 市内で岩城さんが経営する飲食店には元々、障害を持つ人も多く来店し、岩城さんは地域福祉に興味を持つようになった。一方、中沢さんは身内に障害者がいて、学生の頃にボランティアを始めて以降、福祉業界で15年程経験を積んできた。中沢さんが偶然、岩城さんの店舗を訪れ、意気投合したことが事業所設立のきっかけとなったという。

 同事業所では「利用者が自分の生活に満足してもらいたい」とノルマを設けず、コーヒー豆の選別や焙煎、飲食物の調理や調理補助、店内での販売や接客業務など、利用者の要望やできることに合わせて仕事を始めてもらった。「自己肯定感を強く持ってもらいたい」と、同時にできないことへの挑戦もしっかり支えている。実働時間は4時間だ。

豆の選別も丁寧に行う


 コーヒーはドリップでいれる。「技術を身につけることで、仕事に役立てたり、普段の生活にアクセントをつけたり、ご家族においしいコーヒーを入れてあげるなど、さまざまな良いことがある」(NPO法人「みさと」)という。軽食やデザートも提供し、コーヒー豆の販売も行う。

 開業に当たり、オリジナルコーヒー「三郷ブレンド」も開発した。エチオピア産やブラジル産などの豆をブレンドし、芳醇な香りや苦みと酸味の良いバランスが「三郷の穏やかな街のように優しく包み込む」ものになったという。中沢さんは同市のふるさと納税の返礼品として取り扱ってもらえるよう働きかけたい考えを示し、「利用者の収入と生きがいにつなげていきたい」と話す。

 中沢さんは一方で、「車いすの利用には整備がまだ必要」と課題があることを強調した。課題を一つ一つ解決しながらステップアップしていき、健常者も障害者もゆったりした時間を過ごせる場所にしたいと願っている。

 営業時間は月~金曜日午前9時~午後2時。定休日は土日祝日。また、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始などは休業となる。

 <問い合わせ>三郷珈琲焙煎所 (三郷市彦成5の149の2) ☎951・5985

就労継続支援A型事業所

 病気や障害などにより一般就労が難しい人を対象に、就労機会の提供や訓練を実施するサービス。「障害者総合支援法」に基づく国の就労支援サービスで、事業所と利用者が雇用契約を結ぶため「雇用型」とも呼ばれる。雇用契約を結ばず、対象者や報酬の受け取り方も違う就労継続支援B型事業所に比べ、全国の利用者は約4分の1と少ない。