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三郷/社員満足度上げ業績向上

東和自動車三郷整備工房 県内初受賞

 三郷市の自動車整備・販売会社「東和自動車(株)三郷整備工房」(大山貴洋社長、三郷市高州)がこのほど、「第4回整備事業者アワード2025」の「経営改善領域」で県内初の「ES(従業員満足)向上賞」を受賞した。厳しい経営状況の立て直しに奔走する中、「社員に喜ばれる職場に」とユニークな福利厚生策を導入。その結果、従業員の満足度が大幅に向上しただけでなく、新規顧客の獲得にもつながったことなどが高く評価された。大山社長は「取り組みが他社の参考になれば」と喜んでいる。

整備事業者アワード受賞を喜ぶ大山貴洋社長 (右) と大山智子前社長

4年で規模2倍

 同社は1955年に三郷市で大山社長の祖父が創業し、今年で70周年を迎える。大山社長は金融機関に勤めていたが、4年前に2代目社長だった父親(当時64歳)が急逝し、これを機に、3代目を継いだ母親の智子さんに代わって4代目として家業の継承を決めた。

 しかし、当時は顧客の高齢化が進み、新規の来店客も年間わずか3組という非常に厳しい経営状況。大山社長は「選ばれるには喜ばれることを徹底する」という信念の下、状況を打開しようと改革を開始。店舗の外観改善やオンライン対応強化、客に快適な環境づくりを始めた。だが、こうした変化に長く働く社員たちの不満が高まり、職場の雰囲気にも影響が出てくるようになった。

 会社存続のために改革を止めるわけにもいかず、社員の不満も受け止めてどのような経営をするか悩む中、企業理念「正直に。人に喜ばれる仕事をする」を見直して「社員にも喜びを感じられる環境をつくりたい」という思いが湧き、職場を「単なる働く場」ではなく「誇りを持てる場」にしたいと考えるようになった。

 そこから「社員の声を反映する経営」に大きくかじを切り、社員の声から「季節ごとにランチを提供」「夏はアイス食べ放題」「インターン生には就活時に役立つ推薦状を贈呈」など、ユニークな福利厚生策を取り入れた。

 その結果、取り組み以降の退職者はゼロとなり、会社の雰囲気は大幅に改善。実績面でも変化があり、新規来客数は当初の3組から昨年は400組を突破するなど、この4年間で2倍の規模に成長するまでに至った。こうした取り組みが評価され、取引業者から推薦されて、今回の受賞につながった。

 大山社長は「当時はコミュニケーション不足が原因で社員との溝ができ、会社の雰囲気を悪くしてしまった」と振り返った。その上で、「今回の受賞は利他の思いで社員と一丸となって、新たな知恵やアイデアを一つ一つ愚直に実行し、小さな課題を解決して来たからこそ」と強調。「当社の取り組みが一例となり、さまざまな事業者の後押しになればと願っている」と話している。

整備事業者アワード

 整備事業者アワード 「日刊自動車新聞社」(花井真紀子社長、東京・港区)が2021年に設立した賞。自動車業界に大幅な変化が予想される中、自動車ユーザーを支え、整備事業者の手本となる取り組みを表彰することで、業界の活性化を目指している。自薦、他薦を問わない一般公募やスポンサー企業の推薦、同新聞社の推薦で候補に上がった事業者から、8人の外部審査委員会による審査で表彰事業者を決定する。今回は全国から58社の応募があり、3領域で計10事業者が受賞した。