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三郷/落語で感性育む 丹後小児童に一席

金原亭馬久さん招く

 三郷市立丹後小学校(山口清孝校長)で5月27日、今秋に真打ち昇進が予定されている落語家、金原亭馬久さんを招いて落語講演が行われ、全校児童が落語への関心を深めた。

児童に落語の「狸札 (たぬさつ) 」を披露する金原亭馬久さん


 馬久さんは手始めに扇子や縦長に畳んだ手拭いが落語でどう表現されるかを披露。「どう見えるか想像して」と話し、そばやうどんを食べるしぐさで箸、書をしたためるしぐさで筆や短冊を表現。また、刃渡りが体育館の幅ほど長い刀や1㍉の刀を表現すると、児童たちから感嘆や笑いの声が上がった。さらに、各学年の代表児童をステージに上げ、「何を食べているか」を表現してもらい、見ている児童たちに当ててもらうクイズなどを行った。

 その後、いじめられていたたぬきが助けてくれた人間の八五郎に恩返しをする話「狸札」を披露。たぬきがお札に化けて織物屋の支払いをまかなった上、織物屋の財布の中のお札を数枚持ち帰る――という話で、児童たちは真剣な表情で見入り、時に大笑いしていた。

 初めて落語を聞いたという6年生の黒木瑚子さん(11)は「今日の公演で興味を持った。想像力を持ってみるという話を聞き、今後いろいろな物の見方ができるようになると思う」と喜んでいた。
 山口校長は「江戸時代から続く日本文化に触れ、想像力を育むよい機会になった」とし、「記憶にとどめ、今後の生活に生かしてほしい」と話した。また、馬久さんは「落語は読書と同じ。読書は言葉から想像するのと同様、落語は動きや小道具から場面を想像してみることが大切」と述べた。

 今回の落語講演は、同市文化会館が地域の小学生を対象に行っているアウトリーチ事業の一環で、落語を通じて日本文化への興味を深め、豊かな感性を育むことが目的。同市の大塚正樹教育長は「日本の言葉や話芸の魅力、笑いを通じて表現する楽しさを体感して、コミュニケーション能力を育んでもらいたい」と話し、文化会館では「この事業を通じ、未来を担う子どもに日本の伝統文化の魅力を伝え、地域全体で文化を支える機運を醸成したい」としている。