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草加/温かい食事 全ての子に

願い込め絵本制作

 子ども食堂を支援しようと、草加市で活動するデザイナー兼書店「ペレカスブック」店主の新井由木子さん(57)が5月20日、絵本「だれでものいえへ」(20㌢四方、フルカラー24㌻、1100円)を制作し、販売している。同市を中心に子どものための活動をつなげる「こども応援ネットワークpine (パイン)」(浜薗浩美代表)からの依頼をきっかけに制作したもので、売り上げの半分を同団体に寄付する。新井さんは「全ての子どもに温かい食事があるようにとの願いを込めて制作した。この本が子ども支援の一助につながれば」と期待している。

「だれでものいえへ」を制作した新井さん(前列左)と「こども応援ネットワークpine」のメンバーら

草加の書店主 売り上げで食堂支援

 独りぼっちでおなかを空かせた子どものお化けの元に「だれでものいえへ どうぞ ごはんと おやつ」と書かれた地図が届く。途中で同じ境遇のたくさんの子どもお化けと出会いながら、「だれでものいえ」へ。そこで出来立てのごちそうを食べ、本を読んだりゲームをしたり楽しい時間を過ごす。帰る途中にも「だれでものいえ」があることに気付き、今度は違う所に行ってみようと思う――。

 元々の依頼は子ども食堂を周知する冊子とマップの作成だった。冊子は子どもも触れる媒体であることや子ども食堂に利益を出したいとの考えから、絵本にすることを提案。浜薗さんも「繰り返し楽しく読まれることで、子ども食堂のことが親にも子どもにも浸透するのでは」と快諾した。

 2023年暮れから1年5か月かけて完成。50人近く登場するお化けの子どもは全てデザインを変えた。印刷する紙にもこだわった。温かみのある絵とともに、子ども食堂を連想させる優しい文章が、子どものことを考え、手を差し伸べてくれる大人との出会いがいかに大切かを描いている。

 初回発行部数は3000部。新井さんが店主を務める「ペレカスブック」(pelekasbook.stores.jp/?all_items=true)などで購入できるほか、同市役所こども政策課でも手にできる。

 浜薗さんは子どもがダウン症で、障害や貧困などの問題を目の当たりにする度、「地域に子どもの居場所が必要」と強く考えるようになった。どんな環境の子どもにも就労して自分の力で生きていく未来を作りたいと、7年前に同ネットワークを結成、子どもたち一人一人に合わせた拠点へ案内している。さらに、この活動の大切さが社会にもっと広まってほしい、全学校区に子ども食堂があってほしいとの願いから、今回の企画を新井さんに依頼した。

 新井さんは「絵本で子どもたちの心にメッセージを届けると同時に、届けると同時に、子どもを
支援する団体を経済的に助けるために力を貸してほしい」と話している。

 発刊を記念して、30日まで市内12店舗で原画展やワークショップなどを開いている。詳細は「だれでものいえへ」公式インスタグラム(https://www.instagram.com/daredemono_iehe/)で。

 <問い合わせ>ペレカスブックの新井さん☎090・5325・8065