三郷市

橋本雅邦画集を曽孫が三郷市に寄贈

橋本雅邦素描画集を市に寄贈した大津さん(右)

 三郷市後谷の町会役員、大津雅光(まさてる)さん(80)がこのほど、曽祖父で著名な日本画家、橋本雅邦(1835―1908年)のデッサン集「近代日本画の祖 橋本雅邦素描画集」を編集・出版し、6日、15冊を同市教育委員会に寄贈した。

 重要文化財「龍虎図」などで知られる、橋本雅邦は狩野派に学び、洋画の遠近法を取り入れるなど、明治期の日本画の革新に大きな足跡を残した。旧東京美術学校(現在の東京芸術大学)の創立に参加し、下村観山、横山大観、菱田春草、河合玉堂ら日本画壇の俊秀を指導したことでも知られる。

 大津さんの実母は雅邦の三男、秀邦(1881―1947年、日本画家・日本美術院院友)の三女。大津さんは、祖父や母から受け継いだ雅邦直筆のデッサン帳と、2人のいとこが所有するデッサン帳を合わせた計8冊、1200点のデッサンから保存状態のよい350点を選んで、今回の「素描画集」を編集した。雅邦作品を多数所有する川越市の山﨑美術館が出版した。

 素描画集には、花鳥図や動植物、戦国武将、仏像など多岐にわたる作品が収載され、雅邦の代表作の構図の元になったのではないかと推測されるものもあるという。すべて鉛筆で描かれており、「散逸したり状態が悪くなったりする前に」と出版に踏み切ったという。

 大津さんは「雅邦の素描は展示したことがないので珍しい。どのように描いていたか、知る手がかりにもなり、美術家を目指す人の参考になると思う」と話す。寄贈を受けた同市教委の有田るみ子教育長は「中学校と図書館に配置し、美術の授業などで活用していきたい」と話している。