草加市

草加/〝独学の集大成〟を披露

16年前から草加市で絵画教室を開く画家

 「旅行が好きで、旅先で感動した風景や美しい花々を追い求め、絵にする。ぜいたくな幸せ」と目を輝かせる。
 13~17日には自らが講師を務める水彩画教室「第11回水彩画教室ギンノワ展」を、21~25日には油彩画を集めた初の個展「山本信行初めての個展」を東武スカイツリーライン草加駅前のアコスギャラリーで開く。

 個展には、過去20年間に描きためた約50点からえりすぐりの32点を出品する。サイズはF30号を中心に大小さまざま。モチーフも風景や静物画、人物画と幅広い。「第二の人生の趣味として、60歳から独学で描き始めた。80歳を前に一つの区切り。少し恥ずかしいが、これまでの集大成を見せたかった」と強調。「会場を偶然予約できたことも後押しになった」と笑う。

21日に始まる初の 個展は「一つの区切り」と話す山本さん


 草加市出身。子どもの頃から絵が好きだった。デザイナーを志望し、高校生の頃には美術研究所でデッサンを学んだ。「今、思い返しても、当時学んだことが大きい。基礎は身についていた」と振り返る。

 しかし、受験を控えて父親が死去。働く必要に迫られ自動車会社に入社した。ストレスの多いサラリーマン生活。休日は関東圏内を旅行し気分転換を図るなどして、定年まで勤めた。退職後は全国を旅しながら、写真やスケッチをする機会が増えた。見知らぬ人と交流することもあった。「感動した場面や空気や風などを思い出して過ごしていた。その頃から油彩画を独学で始めた」という。

 絵を描くことで人との輪が広がり、サークルを作り、参加する機会も増えた。そんな矢先、シルバー人材センターでのカルチャー教室や、中央公民館での水彩画教室の講師の依頼が舞い込んだ。「人という財産は貴重。講師は自分のためにも人のためにもなる」と引き受けた。

 「絵はライフワーク。自分で描くのも人に教えるのもウェートは五分五分」としながら、「やりたいことはやるという気持ち。今回の個展もできるうちに区切りをつけたかった。これもぜいたくな幸せ」と喜びをかみ締めていた。 (佐藤 龍一)