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草加/〝交通犯罪〟増やさないで

草加東高で安全教室 池袋事故遺族の松永さん

 県立草加東高校 (佐藤智明校長) で4月24日、「関東交通犯罪遺族の会」の松永拓也副代表理事を招き、全校生徒を対象にした交通安全教室の講演「交通事故がもたらすもの~世の中から交通事故がひとつでも減りますように~」が行われた。

交通事故が被害者家族にもたらす影響の大きさを力説する松永さん


 松永さん(38)は2019年4月19日に東京・豊島区東池袋で起きた高齢ドライバーによる交通死傷事故 (通称「池袋暴走事故」) で、妻の真菜さん (当時31) と長女の莉子ちゃん (当時3) を亡くし、それ以降、全国各地で交通安全を訴える活動に取り組んでいる。

 松永さんは21年の交通事故発生件数が30万5196件、死者数が2636人だったことを挙げ、「交通事故は減少しているものの、愛する者を亡くした身としては事故が少なくなったとは思わない」と強調。元気な頃の妻子の動画や写真などを見せながら「2人は私の近くで確実に生きていた。それが当たり前のことと感じていた」と話した。

 さらに、事故当日、病院で2人とも即死と知らされたこと、霊安室に横たわる妻子のズタズタな遺体を見て発狂しそうになったこと、5日間、寝ることも食べることもできなかったことなどを赤裸々に話し、「これ以上被害者遺族を増やさないため、妻と子の命を無駄にしないため、後世に伝え残していくことを決意した」と述べた。そして「同じようなことを起こさないため、社会全体で考えることが重要だ」と語気を強めた。

中には衝撃を受ける子も居るかも知れないと前置きしつつ事故の凄惨さを説明


 松永さんは、事故が高齢ドライバーの事故対策に対する社会の関心を高め、免許証の自主返納増加につながったものの、SNSによる誹謗中傷が問題になったことも指摘。SNSの使い方について生徒たちにアドバイスを送った。

 同校3年で交通安全委員会の委員長を務める小倉碧斗さん (17) は「実際に話を聞いて衝撃を受けた。自分が大人になった時には加害者にも被害者にもならないよう気をつけ、周りの人を悲しませないようにしたい」と話した。佐藤校長は「SNSでは画面の向こうにも同じく心を持った人間がいる。相手を思いやることは交通事故防止にもつながる」とし、「命の重さを確認し、今後の生活に生かしてもらいたい」と述べた。