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越谷市/読書環境の充実に学校司書は不可欠

学校図書館を考える会 越谷で配置不足に訴え

学校司書の配置を訴える「越谷市学校図書館を考える会」のメンバー
学校司書の配置を訴える「越谷市学校図書館を考える会」のメンバー

 市立小中学校の図書館に「専任・専門・正規の学校司書を」と活動を続けてきた、越谷市の市民団体「越谷市学校図書館を考える会」(東直子代表)が、今年度で発足34年目を迎えた。同市内には公立の小中学校が44校あるが、配置された学校司書はわずか20人で、1人の司書が2、3校をかけもちしているのが実情だ。「子どもの教育に図書館は不可欠。いつでも本を手に取れるよう司書を増やしてほしい」と訴えている。

 1989年に開かれた「学校図書館問題研究会第5回全国大会」で「すべての学校図書館に専任の専門職員を」というアピールが採択されたのを受け、同会埼玉支部で県内の小中学校図書館に関する「聞き書き調査」を実施。越谷市でも全小中学校図書館の調査を行った。これをきっかけに、翌90年4月、「考える会」が発足した。

 現在のメンバーは、県立草加東高校司書の東さん、越谷で文庫を開いていた内藤佳壽子さん、東京都墨田区の小学校に勤務していた古橋克子さん、元越谷市立小学校司書教諭の菊地初江さん、ほかに石塚千栄子さん、金成悦子さん、竹内ひとみさんら、学校図書館の実情をよく知るメンバーばかり。
 毎月、定例会を開き、市への要請、教育委員会との話し合い、研究集会での発表、図書館見学などの活動を続けている。

 新潟市出身の東さんは小中高とも学校図書館に司書がいた。「図書館はいつでも開いているのが当たり前だった」。だが、越谷に移り、娘が小学校に上がると、図書館は開いているが司書はいない。中学校では使う時だけ図書館を開け、後は閉めたままだった。「司書がいないと図書館は開かない。図書館が閉まっていれば、すばらしい本と出会う機会もなくなる」と危機感を募らせる。

 2001年3月には市民や議会の声を受けて、「専任・専門・正規の学校司書を置くこと」との議会請願が通ったものの、実現には至っていない。
 現在、小中学校図書館に配置されている司書20人は全員非正規で、週4日勤務が普通。2、3校の兼務なので、学校によっては週1回しか図書館が開かないケースもある。
 「司書がいることの良さは、本の案内人として、本に出会わせてくれること。財政的な問題などがあることは承知しているが、市町村間、公立・私立間で子どもの教育環境に格差が出ないよう、配慮してほしい」と東さんたちは訴えている。