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障害年金 制度周知に力、受給促進

社労士が無料相談 手続き煩雑、支援活用を

相談会を開いている「障害年金サポートグループ」のメンバー(左から梅澤さん、實島さん、中村さん、栗原さん)
相談会を開いている「障害年金サポートグループ」のメンバー(左から梅澤さん、實島さん、中村さん、栗原さん)


 「障害年金をご存知ですか?」―障害年金は、病気やけがで障害を負い、日常生活を送る上で困難や支障がある人に支払われる。だが、制度が意外に知られていないのが実情だ。草加市などの社会保険労務士4人による「障害年金サポートグループ」は8年以上にわたり、無料の「セミナー&相談会」を各地で開き、制度の説明や相談、受給申請のお手伝いなどの活動を地道に続けている。
 自分や家族が該当するかもと思ったらまず相談を、と呼びかけている。障害年金は、老齢年金や遺族年金と並ぶ公的年金の一つ。「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて診察を受けた時に国民年金に加入していれば前者、厚生年金ならば後者を請求できる。
 内閣府の「障害者白書」(令和2年版)によると、障害者は全国で約965万人。一方、日本年金機構の統計(令和3年公表)では、障害年金の受給者は国民年金約202万人、厚生年金(第1号)約46万人だ。単純比較はできないが、要件を満たしていても受給していない人が相当数いると見られる。
 同グループの現メンバーは、栗原豊さん(73)、梅澤道治さん(75)、實島哲文さん(68)、中村千英さん(61)。草加市、春日部市などで社労士事務所を開いている。相談会は原則毎月第1土曜日に越谷、草加、春日部、三郷、八潮など県東部で開催。相談会は無料(申請手続きなどは有料)で、すべて手弁当の社会貢献活動だ。
 栗原さんは以前、病気で働けなくなった人の障害年金受給を手伝ったのを機に、「制度を知らずに受給せず、経済的に困っている人の手助けをしたい」と、2015年に勉強会の仲間と同グループを立ち上げた。
 障害年金の受給を申請するには、障害の原因となった病気やけがの「初診日」を調べ、その時点でいずれかの年金制度に加入し、かつ保険料を一定程度納めており、初診日から1年6か月後の「障害認定日」に障害の状態にあると証明するなど、複雑な要件を満たす必要がある。
 年金事務所で保険料の納付状況を確認し、主治医に診断書を書いてもらい、さらに「病歴・就労状況等申立書」を作成するなど、用意する書類は多い。
 「すべて自分で用意するのはなかなか難しい。社労士に頼ってほしい」と栗原さんは言う。次回の相談会は9月の予定だ。
 実は、相談では精神障害に関するものが7割以上を占める。身体障害の場合は、障害が誰の目にも明らかで、すぐに手続きに進むケースが多いが、精神障害は長い間、そう認めたくなかったりして時期が遅れ、しかも自分では手続きがほぼ困難だからだ。
 「障害年金を知らず、5年、10年たってからようやく動き出すのでは、多大な機会損失だ」と梅澤さんは指摘している。
 <問い合わせ>障害年金サポートグループの栗原さん☎090・4619・5352

障害年金の受給額は


 障害年金の額は障害の程度によって分かれる。障害基礎年金の場合、ほぼ寝たきりに当たる1級は99万3750円。日常生活が著しく困難な2級は79万5000円。さらに障害厚生年金の該当者は報酬比例分などが上乗せされ、級も3級まである。一方、年金の時効は5年で、それを過ぎた分は支給されない。