越谷市

古書画で語り継ぐサロン 越谷・中村家 大学生ら9人が鑑賞

貴重な古書画の説明をする27代当主の中村頴司さん
貴重な古書画の説明をする27代当主の中村頴司さん

 平安時代末期から続く旧家・中村家(越谷市大成町)の「サロン中村古書画コレクション」で17日、「絵画と緑に親しむ会」が開かれ、大学生ら9人が貴重な美術品を鑑賞した。
 中村家27代当主で、同サロン所有者の中村頴司(えいし)さん(86)の協力を得て、県家庭教育アドバイザーの坂田庸子さん(80)とNPO法人越谷市郷土研究会顧問の加藤幸一さん(73)が開いた。
 中村さんは、母屋に展示された円光大師(法然)による「南無阿弥陀仏(なむあびだぶつ)」の書や、客間のガラスケースに保管された江戸時代後期の南画(文人画)家、谷文晁(ぶんちょう)の「松双鶴図」「竹之図」「月下白梅図」などの作品群、「黄檗(おおばく)三筆」と呼ばれる隠元隆琦(りゅうき)ら3人の墨蹟(ぼくせき)(書)など、貴重な古書画について解説。坂田さんと加藤さんがパネルを示すなどサポートした。
 参加した県立大3年の女性(21)は「玄関を入った瞬間、古い家のにおいで雰囲気を感じた。四季の花を描いた襖絵(ふすまえ)が特に印象に残った」と言い、お母さんは「『赤壁の賦』の掛け軸が、通常の倍の幅があって驚いた。家の造りも庭も歴史があって、貴重な体験でした」と話していた。
 中村家は平安末期から鎌倉時代の武士団の一族。江戸時代には東方村の名主を務め、江戸中期に「大相模」から「中村」に改姓した。約800年の歴史を誇る、越谷市内最古の旧家。
 歌川広重などの肉筆画、同家に滞在した絵師、狩野梅雲の襖絵など古書画600点以上を所蔵。2002年にサロンを開設し、毎月、少人数に披露している。