八潮市

八潮・高齢者ふれあいの家「パルコカフェ」

 コロナ禍で一人暮らしの高齢者の“孤立”が一層深まる――と懸念されるが、八潮市は、空き家などを利用して、市民が「高齢者ふれあいの家」を自発的に開設する活動を支援している。同家は、高齢者が気軽に集まり、趣味など各種講座、生きがいづくりなど交流を深める“地域の憩いの場”。市は開設希望者に準備費用、家賃などを助成しており、すでに市民有志が、4か所にオープンしている。「来るのが楽しみ」と利用者からは好評で、同市は「地域の支え合い、助け合いの場に」と開設希望者を募っている。

 「ふれあいの家」は、市民がボランティアで、空き家や空き店舗などを活用して開設する。介護予防体操をしたり、趣味など各種の出前講座を開いたり、さまざまな形で高齢者の交流の場とするもの。同市内の一人暮らしの高齢者は約5300人(今年3月末現在)だが、体力的に困難な人のために、“近場”で見守り活動ができる場が年々、必要になっている。

 同市は「第8期高齢者保健福祉計画」で、2023年度までに市内に8か所開設、との目標を掲げ、17年度から助成をスタートした。助成するのは、開設準備費用、毎月の家賃、参加人数に応じた管理運営費。原則週1回以上の開所が条件。地域包括支援センター職員が兼務する生活支援コーディネーターが開設の支援をする。

 利用者は65歳以上、利用料は1回100円(お茶菓子代)としている。

 19年5月から、同市緑町2丁目の空き家に、ふれあいの家「パルコカフェ」を開設したのは、同市上馬場の鈴木まゆみ代表(70)。同市社会福祉協議会登録の在宅ホームヘルパーを務め、民間のヘルパー仲間と5人で、毎週木曜午後の約2時間、運営している。

 知人から空き家を格安で借り、1階の約16畳のスペースをリフォームして開設。町会の回覧板や口コミで利用者が徐々に増え、現在は65~90歳の10人が利用している。毎回、ゲームや手芸、介護予防体操などで過ごしている。

 同市中央の女性(91)は「友だちとおしゃべりしている。皆さん親切で来るのが楽しみ」と言い、緑町の男性(80)は「1年前から通っている。家だけではストレスがたまるので、グラウンドゴルフの帰りに寄っている」とか。

 鈴木代表は「健康づくりやゲーム、おしゃべりのほか、誕生日会や季節の行事など工夫している」と話す。
 同市長寿介護課は「閉じこもりがちな高齢者が増えている。地域での支援の場として、身近な場所で開設していただける方を募集している」と呼びかけている。
 <問い合わせ>八潮市長寿介護課地域包括ケア推進係996・2111内線448。