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移動スーパー 松伏を巡回 地域見守り高齢者支援

買い物客でにぎわう移動スーパー
買い物客でにぎわう移動スーパー

 松伏町初の移動スーパーが、21日から稼働を始めた。スーパーなどの店が遠く、食品の調達に苦労している「買い物難民」を支援する狙い。町役場前で出発式を行った後、町内9か所を回り、さっそく住民が買い物に集まっていた。
 移動スーパーを始めたのは、茨城県を中心に関東地方でスーパーを展開している株式会社カスミ(本社・茨城県つくば市。山本慎一郎社長)。5月に松伏町と「買い物支援と地域の見守り活動推進に関する協定」を結び、準備を進めてきた。
 同社の移動スーパーは62台目。すでに茨城県、千葉県などのほか、県内では久喜市、加須市、宮代町などで稼働しており、松伏が11か所目。県東部では初めて。カスミ春日部藤塚店の直営で、販売員も車両も同店から派遣される。
 軽トラックの荷台部分に冷蔵冷凍庫を設置。野菜、果物、肉、魚、パン、卵、納豆、牛乳、アイスクリーム、菓子など約650品目を積んでいる。値段は同店と同一。平日は毎日運行。午前中に町内5か所を回り、昼にいったん店に戻って商品を補充した後、午後から別の4~5か所を回る。集客状況を見ながら、約半年ごとに販売場所を見直していくという。
 最初の移動販売場所となった岩平観音堂では、地域住民約10人が集まり、野菜やアイスクリーム、パン、弁当などを買い求めていた。60代の主婦は「今は車で買い物に行っているが、移動スーパーが始まった以上、ずっと続いてほしいので買いに来た」と言う。米油が欲しいなどの要望も寄せられ、販売員は次回用意すると答えていた。
 鈴木勉・岩平自治会長によると、岩平地区は約60世帯で、住民の平均年齢は70代。約4キロ離れた吉川駅前まで買い物に行く人が多く、バスも1時間に2便あるが、「移動スーパーで助かる人は多いだろう」と話す。
 これに先立つ出発式で、鈴木勝町長は「循環バスの運行を公約に掲げたが、行きに乗っても帰りのバスが来るのに時間がかかる。タクシーではお金がかかる。その点、移動スーパーは店が来てくれるので住民にはありがたい。持続可能になるようにしていきたい」と強調した。
 カスミの伊神里美執行役員は「幸せの一つはおいしい物を食べることだが、商品だけ届くのでなく、買い物をしておしゃべりをすることが大事。お客さまとコミュニケーションを取れるようにしていく」と述べた。
 移動スーパーの販売員が客の顔を覚えることで、「いつも来ている人が来ない。何かあったのでは」などと気づけるようにする「見守り」の役割も担うことになる。