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三郷市/患者、家族支える交流の場

不安や悩み 対話で和らげ 高応寺「がんカフェ」11年目に

 将来への不安や治療の悩みなどを抱えたがん患者らが毎月1回、三郷市早稲田の高応寺の本堂に集まり、悩みや体験談を共有している「がんカフェ」が、9月30日の開催で11年目を迎えた。市内の看護師が「悩みを自由に話し合うことの出来る交流の場を」と2013年9月に開設。これまでに延べ約600人もの患者やその家族、遺族らが参加している。「思いや悩みを話すことで前向きになれた」という人も多く、人生の支えとして貴重な居場所となっている。

悩みや状況を話す患者らと話をする看護師の川上さん(右から2人目)と酒井住職(左から2人目)

緩和ケア経験生かし 市内の看護師が開設

 「がんカフェ」を開いているのは、同地区にある「アカシア訪問看護ステーション」所長の看護師、川上貴子さん(61)。以前、勤めていた病院で緩和ケア病棟や外来を担当していた時、闘病中のがん患者の痛みや吐き気などのつらい症状を少しでも和らげてあげたいと、患者と向き合ってきた。しかし、「次の外来までつらさを誰にも言えない。悩みを打ち明け、よりよい生活のためのアドバイスが出来る場所が必要」と痛感し、「がんカフェ」の開設に踏み切った。

 「がんカフェ」は、毎月第4土曜日の午後2時から約2時間開催。がんを告知されたばかりの患者や終末期の患者、その家族や遺族など、毎回約20人が集まり、現在の状況や闘病生活の不安、最愛の家族を失った悲しみなどを吐露する。
 「がんカフェ」という名前だが、がん以外の病気の人でも参加できる。この日は、最愛の息子を脳腫瘍で失った母親も参加し、「小学生だった子どもに治る病気とうそをつき続けたことを後悔している」と、涙ながらに息子との思い出を話す人もいた。

 大勢での話が一段落すると、4グループに分かれてより細かな情報交換が行われる。高応寺の酒井菜法住職も加わり、聞き役になったり話をしたりし、最後は瞑想の時間で参加者の心に安らぎを届けている。

 同カフェの開設初期から参加し、中断・参加を繰り返してきた三郷団地の緑川美智子さん(75)は、約15年前に乳がんを発症。手術も成功し、転移も見られなかったため、「完治した」と思っていた。しかし、今年7月の検査で胃がんと大腸がんが見つかり、7月と8月に手術を行った。薬は服用しておらず、3か月に1回の検診で様子を見るという。

 緑川さんは過去に看護師をしていた経験から、「がんと診断されてもがんで亡くなるとは限らない」と述べ、「くよくよしても仕方ない。今はご飯をよく食べて体力をつけ、トルコのイスタンブールに友だちと旅行に行くのが夢」と前向きに過ごしている。

 酒井住職は「地域の人を救いたいという気持ちが川上さんと一致した」と話す。医療従事者が主となり、お寺とともにがんカフェを11年も続けているところは仏教界でも珍しいという。
 川上さんは「お寺での開催は不謹慎と言われたこともあるが、お寺だからこそ話しやすいこともある」と述べ、「今後は、がんカフェを始めた時からの夢である、日常的に相談の出来る〝まちの保健室〟を作りたい」と話している。

 「がんカフェ」の問い合わせは「アカシア訪問看護ステーション」☎950・1250。