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吉川/地域支える移動販売車 高齢者の買い物、健康支援

事前予約で医薬品も ウエルシア薬局

移動販売車「うえたん号」で買い物をする高齢者
移動販売車「うえたん号」で買い物をする高齢者

 吉川市社会福祉協議会とウエルシア薬局株式会社(本社・東京都千代田区。田中純一社長)が連携して、同薬局の移動販売車「うえたん号」が1月から、吉川市内で運行を始めた。買い物が不便なエリアを回り、食料品や日用品などを販売している。事前に注文しておくと医薬品を届けてくれるほか、車載モニターで薬剤師に簡単な相談もできるなど、薬局ならではのサービスも充実している。高齢者にとってはうれしい取り組みと評判になっている。
 午前11時過ぎ、旭地区の下広島自治会館に移動販売車がやってきた。同地区はJR武蔵野線吉川駅まで約5㌔。一番近いスーパーへも約2㌔あり、高齢者の足では40~50分かかる。「来てくれてうれしい。みんなと会えるしね」と武田千恵子さん(74)は目当ての卵をカゴに入れた。森田シゲ子さん(73)は買うものをたくさん紙にメモしてやってきた。「役に立っているよ。免許を返納した人もいるし」と田中英之さん(82)。皆、すでに得意客だ。
 この日は15人ほどが集まり、買い物を楽しんでいた。同市社協3人のほか、民生委員1人、ウエルシア2人が買い物を手伝った。
 値段は卵170円、コロッケ2個138円、食パン125円など店頭価格と同じ。種類も豊富で、総菜、弁当、肉、魚、野菜、パン、ラーメン、アイスクリーム、菓子などの食料品、洗濯洗剤、トイレットペーパーなどの日用品計約500品目に上る。現金のほか、クレジットカード、ペイペイなどのスマホ決済、ワオンなどの電子マネー決済が可能。電気代やガス代などの公共料金も支払える。
 さらに特徴的なのは、事前に電話などで連絡しておけば、風邪薬や頭痛薬など薬剤師や登録販売者しか出すことのできない医薬品も持ってきてくれることだ。
 同市社協とウエルシアは昨年12月、「支え合いによる地域づくり等に関する連携協定」を締結。移動販売は高齢者の社会参加、介予防など9つの連携項目の一つで、買い物支援とともに、地域での見守り活動や近隣住民同士の交流を通じて、安心して暮らせる地域作りを行うことが目的だ。同薬局は一昨年5月から静岡県島田市で移動販売を始めたが、社協との連携による運行は全国初だ。
 運行は月曜~金曜で49か所を回る。停留所は集会所などを中心に、地域の情報から同市社協がコースを決めている。1か所当たりの販売時間は15~20分程度で、午前の部が終了すると、いったん店に戻って商品を補充してから午後便が出るので、いつでも商品は豊富だ。販売開始から1週間で331人の利用があった。
 この企画を1年越しで実現させた同市社協主査で生活支援コーディネーターの浦上利詠(りえ)さんは「自分で見て買えるし、地域の人と会うのは介護予防につながる。さらに移動販売車が走るのは防犯にもなり、買い物だけではない効果もたくさんある」と強調。「住民に移動販売の利用を呼びかけている」と言う。
 商品に関する問い合わせ・注文はウエルシア吉川栄店☎︎984・4371。販売場所に関する問い合わせは吉川市社会福祉協議会☎︎981・8750。
移動販売の運行運行時間は午前10 時過ぎから午後3時過ぎまで。運行エリアは、上内川(4)、下内川(2)、八子新田(1)、鍋小路(1)、拾壱軒(1)、南広島(2)、川藤(5)、須賀(2)、吉川(2)、平沼(1)、中央(1)、保(1)、中曽根(2)、道庭(1)、木売新田(1)、三輪野江(1)、土場(1)、半割(1)、加藤(2)、吉屋(2)、鹿見塚(1)、関新田(1)、上笹塚(3)、会野谷(1)、皿沼(2)、中島(1)、二ツ沼(2)、深井新田(2)、平方新田(2)。(かっこ内は停留所数)

移動販売車「うえたん号」
移動販売車「うえたん号」