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吉川市・設計事務所内に就労支援施設

 吉川市の土木設計事務所「ホウユウ」(太田久年社長)内にこのほど、企業一体型の就労移行支援事業所「Torepania(トレパニア)」が開所した。パソコンを使って製図を行う「CAD(Computer Aided Design)」に特化したもので、企業一体型の事業所は県内でも珍しいという。
 就労移行支援事業所とは、障害のある人の一般企業などへの就労をサポートする通所型福祉サービスで、就労に必要な知識の習得や訓練を一定期間行う。

 「トレパニア」を運営するのは、「torepal(トレパル)」(山口将秀社長)。「トレパニア」では、利用者が企業で働くことを直接体験できるほか、設計業界で広く利用されているCADをホウユウの社員から直接学ぶことができるのが強み。一方、場所を提供しているホウユウ側も、利用者が働く姿や設計図の出来栄えを直接確認することができ、優秀だと判断した人材を採用できるメリットがある。

利用者らにCADを教えるホウユウ社員(左から2人目)と、見守るトレパルの社員ら(左から3人目は山口社長)

 トレパルの山口社長(43)は、自身の息子が誕生数か月後にてんかんを発症。3、4歳頃に知的障害と診断されたことから、「将来、就労移行支援事業所に世話になることを考えた時、本人のやりたいことをやらせたい」と自ら就労移行支援事業所の起業を決意し、2017年に「トレパル」を立ち上げた。しかし、翌年経営が立ち行かなくなったこともあり、「よい会社、よい経営者、よい経営環境の実現」を目指して社長自らが学ぶ〝社長の学校〟と言われる「県中小企業同友会」に参加し、同友会の代表も務めるホウユウの太田社長(56)と知り合った。

 太田社長は「コロナ禍でリモートワークの実施を余儀なくされ、会社の空きスペースを有効活用したいと考えていた」とし、両者の思惑が一致したことから、今年5月1日の開所に至った。
 「トレパニア」の定員は20人。現在5人が利用し、CADの技術を勉強している。
 山口社長と太田社長は「就労移行支援事業所の新しい形として、今後も多くの企業で取り入れてもらえれば」と話している。