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「越谷いちご」世界へ 「いちごみらい舎」が輸出

今月下旬から「越谷いちご」の輸出を始める「いちごみらい舎」の原社長
今月下旬から「越谷いちご」の輸出を始める「いちごみらい舎」の原社長

国際ブランド化目指す

 「越谷いちご」が世界へ――。越谷市特産のイチゴが今月下旬、シンガポール、タイ、オーストラリアなどに輸出される。越谷産イチゴの輸出は初めて。生産するのは同市増森の民間会社「いちごみらい舎」。福岡県の農業資材メーカー「アグリス」が、国の補助金を得てビニールハウスを新設し、生産会社を新たに立ち上げた。「アグリス」は福岡でイチゴ輸出の実績があり、そのノウハウを生かす。

 「越谷いちご」の取り組みは2010年から。同市は都市農業の高収益化や後継者対策として観光農園の経営者を育成。15年には、同市農業技術センターの隣接地に公設民営の観光農園「いちごタウン」をオープンさせた。経営研修の成果で、市内の観光農園は9か所に増加。コロナ前には訪問客が年間10万人を超える越谷の新たな観光に発展した。
 イチゴ輸出は新たな取り組み。同市と「アグリス」は20年2月、「いちごタウン」の隣接地2㌶で、「連携してイチゴの生産拡大を図る」覚書を締結した。同社は生産の効率化を図るイチゴの高設栽培システム(2段ベンチ式)を開発し、全国に普及。同市へも「いちごタウン」などに導入するとともに、農家への栽培指導にも参加してきた。こうした縁から、同社が出資してハウス8棟と急速冷凍機を備えた加工場を建設することになった。
 建設費は5億5100万円。うち2億3000万円は国の農産物輸出拡大施設整備事業の補助金を得て、昨年5月に完成した。正社員4人やパート22人体制で苗作りからスタート、昨年9月に本格的なイチゴ栽培を始めた。今年は埼玉県品種の「あまりん」など11品種計6万株を栽培。日本ではまだ珍しい夏イチゴの試験栽培も行う。
 「いちごみらい舎」の原亮輔社長(48)は「国産のイチゴは、糖度や柔らかさ、見た目などいずれも品質が高く、輸出先の海外でも好評で、東南アジアでは日本の3~4倍の値段がつく。今後大きく伸びる可能性が高い」と指摘。「今後は北米への輸出にチャレンジしたい。主に米西海岸やハワイなどに輸出する計画」という。
 また、急速冷凍機によって越谷イチゴの鮮度や糖度を落とさずに冷凍。「冷凍イチゴ」として市内の洋菓子店などに活用してもらうほか、「削りイチゴ」を商品化する計画も。ケーキやフルーツサンドなどの需要を見込む。
 さらに観光イチゴ園「越谷いちごみらい園」を今月5日にオープン。「いちごタウン」とともに、観光客を迎える。イチゴ狩りは50分間で大人2500円、未就学児1300円(4歳未満無料)。予約は同園のホームページhttps://ichigomirai.co.jp/から申し込む。
 原社長は「越谷いちごの国際ブランド化に取り組む。越谷の農業の発展と観光に寄与できれば」と話している。
 <問い合わせ>越谷いちごみらい園☎984・7192。