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施設のバリアフリー学ぶ 越谷「ひかりの森」建築士が見学会

床のコーナーに色の違う床材を使用し、弱視の人の移動をガイドする新たなバリアフリーを体験する参加者たち
床のコーナーに色の違う床材を使用し、弱視の人の移動をガイドする新たなバリアフリーを体験する参加者たち


 越谷市のNPO法人「視覚障がい者支援協会・ひかりの森」(松田和子理事長)が昨年4月に同市赤山本町に開設した、視覚障害者のための就労継続支援B型事業所「ひかりの森」でこのほど、施設見学会が開かれ、建築関係者やデザイナーなど約20人が参加した。
 視覚障害者の就労支援事業所は県内初で、全国的にも珍しい。施設内はバリアフリーを徹底し、特に室内を安全に移動できるよう、弱視の人向けに床を色分けし、足の感覚で区分がわかるような配慮もされている。
 施設見学会は同事業所を設計したケアリングデザイン一級建築士事務所(東京都港区)の一級建築士、直なお町まち常と容よ子こさんと一般社団法人「ケアリングデザイン」(同)の代表理事でインテリアデザイナーの小野由記子さん、クワハタデザインオフィス(横浜市)代表の桑波田謙さんがガイド役となって行われた。
 住宅街に建てられた同事業所は木造2階建て、延べ床面積約205平方㍍。玄関は自動ドアで外からの誘導用にスロープや点字ブロックが設置され、音声ガイドもある。屋内にはエレベーター、バリアフリーはもちろん、床の材質を工夫し、色分けしてコントラストを付け、動線を明瞭にするユニバーサルデザインになっている。1階はメインの2つの「作業室」(約53平方㍍と12平方㍍)。2階はフリースペースや事務室、相談室、キッチンなど。フリースペースでは展示やミニイベントもでき、多目的トイレを備えている。
 参加者は特に、床面のコーナーに濃いブルーの床材を使用し、目の不自由な人の移動を助ける方法に関心を示し、靴を履いていてもコーナーで感触の違いが分かることに感心していた。直町さんは「見えない世界を快適に過ごすにはどうすればいいか、知恵と工夫と想像力が問われ、建築士としても気づきや学びがたくさんあった」と話した。
 松田理事長(77)は「視覚障害者が生き生きと働くことができる癒やしの場を1年がかりで作り上げた」と言う。同事業所の管理責任者で相談支援員の中村伸一さん(69)は「建築基準法の規制の中で、どう安全・安心な施設を実現していくのか、多くのプロの手を借りながら知恵を絞った。新たなユニバーサルデザインのモデルになれば」と話していた。