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国の登録有形文化財に・越谷市の都築家糀屋蔵

国の有形文化財に登録される見通しとなった「都築家糀屋蔵」

 現存する越谷市内最古の洋式建築物の「都築家糀屋蔵(つづきけこうじやくら)」(越ヶ谷本町)が国の有形文化財に登録される見通しとなった。同蔵は昭和初期、みそ醸造業を営む商家によって日光街道越ヶ谷宿に造られた。当時としては珍しい鉄筋コンクリート造り2階建ての土蔵風倉庫。2020年に改修され、現在は1階がカフェと図書室、2階が多目的スペースとして活用されている。同蔵を活用し運営するまちづくり会社は「これまで地道に活動してきたことが評価された」と喜んでいる。

 国の文化審議会(佐藤信会長)が17日、同蔵1棟を登録有形文化財(建造物)とするよう、永岡桂子文部科学大臣に答申した。後日、官報告示を経て登録される予定だ。

 越谷市教育委員会生涯学習課によると、同蔵の屋根は切妻造りで銅板瓦棒葺き。内部は壁を板張り、天井を漆喰で仕上げている。入り口はダイヤル錠のついた金庫風の堅牢なもの。内部には床下を補強した上で重い金庫が置かれている。
 みそ醸造業を営む都築家により、昭和初期頃に造られた。現在は7代目の都築良二さん(79)が所有する。良二さんの妻、喜久江さん(78)は嫁いできた半世紀前を思い出し、「大変名誉で光栄です。入院中の主人にもリモート面談で報告できました。手を振って喜んでいました。今後も皆さんに活用してもらい、ずっと愛され続けてほしい」と目を細める。
 都築さんによると、江戸時代の文化年間(19世紀初頭)に都築家(初代は都築九右衛門)がみそ屋を創業したことから始まる。江戸時代、越ヶ谷宿には都築家を含めて3軒あり、「麦味噌」の一大産地として繁栄したという。蔵の設計図も残されている。
 同市教育委員会の木村和明・生涯学習課長は「都築家糀屋蔵は建築当時では珍しい土蔵風鉄筋コンクリート造の倉庫となっており、天井が漆喰で仕上げられるなど凝った造りとなっています。今回、このような建物の特徴などが評価され、国の登録有形文化財に登録見込みとなったことを大変喜ばしく思っています」と話す。
 廃業後、取り壊しも検討されたが、貴重な建造物を残そうと地元市民団体や市内の住宅メーカーの手で再生された。改修は「中央住宅」(品川典久社長)が全面的に実施。担当した同社事業業企画室係長の関根健太郎さん(41)は「都築家の蔵は越ヶ谷宿の原風景を残す貴重なもの。越谷の財産として壊さずに残していこうと取り組んだ」と話す。
 市民団体「旧日光街道越ヶ谷宿を考える会」(畔上順平会長)も貴重な蔵を活用しようと動いた。1階は私設図書室「watage(わたげ)」を開設した。床面積約30平方㍍の同図書室には市内の主婦、戸田道子さん(55)が幼い頃から読んで集めた絵本や小説など約1000冊が並ぶ。厨房を設置し「蔵カフェ」もオープンした。
 畔上会長(47)は「街道に残る歴史的建造物がこれ以上壊されることがないようにとの思いで活動した。イベントのほか、女性創業のチャレンジショップとしての役割もあり、多角的に利用されている。文化財に登録されれば、私たちの活動の励みにもなる」と話した。
 畔上さんは同蔵を管理・運営する一般社団法人「越谷テロワール」の代表理事でもあり、隣接する古民家複合商業施設「はかり屋」(旧大野家住宅、19年に国の登録有形文化財に登録)の運営も。畔上さんは「越ヶ谷宿の観光名所として、さらに発展させたい」と意欲を語っている。
 なお、今回登録されれば、越谷市内の国の登録有形文化財は4つとなる。