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「運転支援装置」の効果立証・埼玉大と越谷のメーカー

 越谷市の自動車部品メーカーが、車の運転の際、左足を乗せる「フットレスト」を加工することで、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ、ユニークな装置を開発したが、メーカーと埼玉大学との共同研究の結果、このほど、新しい装置の“踏み間違い防止効果”が実証された。同大は9月、研究結果を日本機械学会に発表し、メーカー側は、特許を取得した。共同研究の実験は、シミュレーターを使い、20代の学生たちが行ったが、メーカーと同大は今後も、ドライバーの年齢、性別などさまざまな走行シーンを想定して、さらに安全性の立証研究を続けるという。
自動車分品メーカー「明和」(藤森正信代表取締役、同市東越谷)は2019年夏、運転支援装置「アクセル・ブレーキ踏み間違い軽減フットレスト『ペダル奉行』」を開発した。
 アクセルとブレーキには手を加えず、既存のフットレストに、強化プラスチック製カバー(長さ27㌢、幅13㌢)をかけてビスで固定。その上にゴム製の滑り止めマットを張り付けた。カバーは右端に高さ3・4㌢の“壁”がある。この壁により、左足がずれにくく、ほぼ固定されることで「正しい運転姿勢が保て、踏み間違いを防げる」というユニークなアイデア。
 装置の有効性を確認するため、同社が埼玉大学の研究機構「オープンイノベーションセンター」に相談したところ、同大大学院理工学研究科の楓和憲(ルビ・かえで・かずのり)准教授(41)が興味を持ち、昨年4月、共同研究をスタートさせた。
 「ドライビングシミュレーター」を開発して実験を重ねた。アクセルとブレーキペダルは市販のトヨタ・プリウスのサイズを正確に再現し、ハンドル、シートを加えた“模擬運転席”を作り、大学院の学生たちは運転動作に連動する「映像」をVR(仮想現実)技術を駆使して作った。大型モニターと連動したシミュレーターで運転し、足の動きを㍉単位で細かく計測したという。
 運転実験は主に20代の男子大学院生たち。市街地や郊外などさまざまなシーンを想定し、信号機や踏切などでブレーキを踏めばモニターの景色も止まる。シミュレ―ターは精密にプログラミングされ、実験は今年9月まで、続けられた。
 この結果、「何度も実験を重ね、『ペダル奉行』を使うことで、ドライバーはアクセルとブレーキの位置を把握しやすくなり、踏み間違いを防ぐ効果があることが実証された」(楓准教授)という。
 しかし、共同研究の期間中は、新型コロナウイルスの影響で学生以外では実験できなかったため、同准教授は「今後は高齢者を含めたさまざまな年齢層や体格のドライバーで実験を重ね、精緻(ルビ・せいち)なデータを取得していきたい」としている。同社の藤森社長(62)は「点字ブロックからヒントを得た商品。楓准教授らの熱心な研究で効果が証明されてよかった。ドライバー誰もが自信を持って運転できる支援装置になるよう今後も研究を続けたい」と話している。