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越谷市/火縄銃通じ命の問いかけ 北陽中

 越谷市立北陽中学校(新坂晃良校長)で8~10日の3日間、松伏町ゆめみ野の前装銃(火縄銃)日本チャンピオン、桑原巡さん(72)が2、3年生約250人を対象に、本物の火縄銃を用いた授業を行った。桑原さんは県内外の学校で授業を行っており、今回で200回目を迎えた。

 桑原さんは2002年に火縄銃の射撃の腕を競う「日本前装銃射撃大会」で優勝した。以前から各地で火縄銃の実演を披露していたが、八潮市立大原中学校の教諭から「社会科のゲスト教師として来てほしい」と依頼され、00年11月に同中で1回目の「出前授業」を実施。火縄銃の歴史から武器の怖さまで説明し、「命を奪うのはいじめも同じ」と締めくくる。それが評判を呼び、各校から招かれるようになった。

 授業では「長筒(番筒)」「中筒(侍筒)」「大筒」「短筒」という、大きさの異なる4種類の火縄銃を持参。「どこの国の人から購入したか」「1丁幾らぐらいか」とクイズ形式で進行。火縄銃1丁が現在の価格で1億円ぐらいだったことや、厚さ37㍉の木の板に15㍉の鉄板を貼り付けた板でも、50㍍離れた所から撃って貫通することなどを説明すると、生徒らは驚いてた。城門などを攻撃する際に使用された重さ15㌔の大筒を持つと、「重い」と声を上げ、あまりの重量に笑い出す生徒も多かった。

生徒ら全員に大筒を持ち、その重さを確かめてもらう

 桑原さんは、火縄銃の製造技術が運搬や探索する「自転車や望遠鏡の製造技術につながった」とプラス面があることを指摘する一方、「武器は人の命を奪う恐ろしいもの。それはいじめも同じ」と述べ、「武器を持つ必要があるのかないのか」を生徒らに問いかけ、人生の宿題とした。
 3年生の田中駿作君(15)は「授業で習ったことを実際に体験でき、知識の裏付けになった。本物に触れ、当時どう戦っていたのかを感じることができた」と喜んでいた。

いじめのない社会を

 桑原さんは「火縄銃の出前授業を通じ、いじめのない社会を作るのが夢。元気なうちは続けたい」と話していた。
 長野市の古武道「長谷川流和術」宗家の生まれ。子どもの頃から川中島古戦場などの史跡を巡り、郷土の偉人で、西洋砲術塾を開いた幕末の思想家、佐久間象山に興味を持った。35歳で「関流砲術」宗家(茨城県土浦市)に入門し、古式砲術を学んだ。