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草加市/草加市の鈴木さん 足尾銅山集大成の「個展」栃木で

 栃木県の足尾銅山を描き続ける草加市の画家、鈴木喜美子さん(79)が、集大成となる個展を、12日から18日までの7日間、「栃木県総合文化センター」(宇都宮市本町1の8)で開催する。
 今年は栃木県政150周年、足尾銅山の閉山から50年という節目の年でもあり、油彩画58点、素描約10点が展示される。

近作「足尾の今」と鈴木さん

 鈴木さんは草加市出身。1978年に自らが主宰する絵画教室の写生旅行で足尾町に足を延ばした際、西日を強く受けた足尾銅山と工場が立ち並ぶ景色に強く引き込まれた。足尾銅山に魅せられた瞬間だった。以降、町の有力者や工場関係者とも親しくなり、普通は入れない場所まで入ってスケッチをするなど、45年にもわたり、その魅力をキャンバスに描き続けてきた。

 栃木県の足尾銅山を描き続ける草加市の画家、鈴木喜美子さん(79)が、集大成となる個展を、12日から足尾銅山は江戸時代に開発された鉱山。日本最大の銅産出量を誇り、明治から昭和初期にかけて日本の近代産業発展に大きく貢献した。しかし、一方で製錬所の煙によって引き起こされた大気汚染や、廃棄物による水質・土壌汚染により、日本初の公害事件「足尾鉱毒事件」を引き起こした。

 現在、足尾銅山周辺では再開発が進み、廃工場などの建物がなくなり、緑化が進んでいる。そのため、鈴木さんの絵画は当時を知る貴重な記録にもなっている。鈴木さんは「足尾銅山は風光明媚な場所でもなく、画家が喜んで描くような場所でもない」と前置きし、「それでも絵描きとしてこうした題材に出会えたのはすごく幸運だった」と話す。

 栃木県での個展は2回目。「こんなに多くの作品を展示することは二度とないと思う」とし、「今だから描けるものを、力を込めて描く。足尾銅山や私自身の歴史や時間の変遷を少しでも感じ取ってもらえたら」と話している。
 開館時間は午前10時30分から午後6時まで(初日は午後1時から、最終日は午後5時ま)。入場無料。電車の場合は、東武宇都宮線「東武宇都宮駅」下車、徒歩約10分。車の場合、駐車場は周辺の有料駐車場か、県庁地下駐車場(土日祝2時間無料)を利用する。

 <問い合わせ>栃木県総合文化センター☎028・643・1000(代表)。