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県立大・小川ゼミ/高齢者にスマホの解説書 寄付で印刷費募る

クラウドファンディングで寄付を募っている県立大・小川ゼミ(左端が小川准教授)
クラウドファンディングで寄付を募っている県立大・小川ゼミ(左端が小川准教授)


 家族とLINE(ライン)をしたいがスマホの使い方がわからない――高齢者から寄せられる切実な要望に応えようと、埼玉県立大学(星文彦学長。越谷市三野宮)でスマホの使い方をわかりやすく解説した冊子の作成を計画、クラウドファンディングで広く寄付を集めている。目標金額は105万円で、7月27日現在、寄付申し込みは42万8500円。だが、8月末の期限までに目標金額に達しないと不成立となり1円も受け取れないため、「少額でもいいので協力を」と呼びかけている。
 寄付を募集しているのは、社会福祉子ども学科の小川孔美(くみ)准教授のゼミ(4年生6人)。
 高齢者福祉や地域福祉を学ぶ同ゼミは昨年、同市千間台西地区の住民組織「地域支え合い会議」に参加し、住民の要望を聞き取った。すると「県立大生との交流」「ふらっと立ち寄れる場所」「高齢者へのIT教育」が上位に挙がった。
 これを受けて、同会議などの協力の下、「スマホ相談会」を開催。他の学科の学生にも参加を呼びかけ、集まったメンバーは後に、高齢者にスマホの使い方を教えるサークル「やどり木 SPU binders」を立ち上げた。
 「相談会」は月1回、3回連続で、LINE、写真、地図などの使い方を教える。さらに、住民に大学に来てもらう「やどり木スマホサロン」を月1回開催。ネット上でいつでもやり取りできる「オープンチャット」も開設した。参加者は、家族とやり取りしたり写真を送ったりできるようになると、世界が劇的に広がることを実感している。
 同ゼミの黒川歩華さん(21)は「参加者が写真を送れるようになったりするのがうれしい」。清水翔さん(21)は「一緒に学べる楽しさがある」と口をそろえる。
 こうした経験を基に、同ゼミでは、誰にでもわかりやすい冊子を作ろうと計画。内容を何度も検討し、半年以上かけて完成させた。
 ただ、問題は、実際にカラー印刷して冊子200部を作る費用がないこと。そこで、ネットを通じて広く寄付を募るクラウドファンディングを利用することにした。クラウドファンディングサービス「READYFOR(レディーフォー)」で7月3日に募集を開始。寄付額は1口500円から20万円まで。金額によって冊子を贈るなどリターン(お礼)を用意している。期限は8月31日まで。
 小川准教授は「学生とともに完成させた冊子を印刷して配れるよう、ご協力をお願いしたい」と話している。
 寄付の申し込みはhttps://readyfor.jp/projects/SPU_ogawaseminar まで。