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吉川市/画家 篠田草風さん、敬老の日に肖像画

毎年、地元に貢献した高齢者に

敬老の日に肖像画を贈られた高齢者と肖
像画を描いた篠田さん、中原市長(右から)
敬老の日に肖像画を贈られた高齢者と画家の篠田さん、中原恵人吉川市長(右から)


 吉川市在住の肖像画家、篠田草風さん(83)は毎年、敬老の日に、市内の元気な高齢者に肖像画を描いて贈っている。描いた数は実に68枚。1989年から現在まで男女2人ずつに寄贈し続け、100歳前後の高齢者を喜ばせている。
 篠田さんは、現在の長崎県雲仙市生まれ。高校卒業と同時に、神奈川県横須賀市の親戚の牛乳販売店で働きながら、絵画教室に通い、1970年に画家として独立した。2007年の「第54回全日肖展」では、最高位の内閣総理大臣賞に輝いた。縁あってノーベル平和賞受賞者のダライ・ラマ14世を描いたこともある肖像画界の重鎮だ。吉川には72年以来、住んでいる。
 肖像画の寄贈は、長い間、地元のために貢献してきた人たちの苦労をねぎらうため、篠田さんが吉川市長に提案したという。対象となる高齢者は、市の地域包括支援センターが毎年春に選んで、データと写真を篠田さんに渡す。データは、生年月日や性格、過去の業績、趣味などで、それを3週間ほど熟考して、筆を執り始めるという。
 「絵には人間性を入れなければいけない。人物を知ることが大切」と篠田さん。プロフィルを見て、どんな人生を歩んできたか思い描いて、筆を走らせる。男性は着物が多く、家紋を入れる。女性はやや若めに描くのがコツだとも。
 今年、贈られた女性からは「かわいらしく描いていただきうれしい」というコメントが寄せられた。楽しみながら描いてきたのが長く続けられたゆえんだ。
 ただ、残念ながら、肖像画の寄贈は来年の35回で最後となる。「一つの区切り」だという。長年、橋渡し役を務めてきた吉川市は、「毎年、肖像画を受け取られるご本人やその家族に大変喜ばれている。34年もの間、続けていただけること、篠田先生の心遣いに市も大変ありがたく思っている」と感謝の言葉を述べていた。