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越谷/生き生き 「働ける高齢者」 安心弁当 運ぶ笑顔

キッチンとまと 「心も体も健康 100歳まで」 見守り兼ね配達も 

大量の弁当を手際よく作るキッチンとまとのスタッフ
大量の弁当を手際よく作るキッチンとまとのスタッフ

 

 可能な限り地場産の農産物を使い、安心・安全な弁当を手作りして、高齢者や企業・団体などに宅配している越谷市の「企業組合ワーカーズ・コレクティブ キッチンとまと」が、今年で設立30年目を迎えた。作っているのは年齢67~83歳の女性たち約15人。「高齢になっても誰もが働ける場に」と、メンバーたちは生き生きと仕事に精を出している。
 午前6時30分、越谷市蒲生東町の「日の出商店街」にある元空き店舗を改装した仕事場に、メンバーたちが出勤してきた。手分けして50~70個の弁当を作っていく。午前11時頃には完成。それを同年配の男性スタッフが1週間3人のローテーションで、高齢者の見守りを兼ねながら届けに行く。午前中の忙しい時間帯は、障害者の職場参加を支援する同市の就労支援サービス事業所「せんげん台『世一緒(よいしょ)』」の利用者が電話注文や配達を手伝っている。
 「ずっとこたつに入っていたら出られなくなっちゃう。こうして動いていた方がいい。健康に気をつけてさ」。最高齢の北澤百合子さん(83)は朝から手も口もよく動く。
 メニューも自分たちで考える。1か月20種類。無添加の食材や地産地消を掲げ、越谷産の野菜、米などを使う。
 日替わり弁当580円、おかずのみ430円。ほかに「こしがや宿のお弁当」700円がある。江戸時代から伝わるもてなし料理を市民団体「こしがや地域ネットワーク13(ケネット13)」(駒﨑美佐子会長)が再現し、同店で商品化したもので、赤飯、ネギやカモ、ウナギなどが詰められ、企業や団体に喜ばれている。
 また、毎月第2火曜日の午前10時から午後2時まで、越谷市役所そばの「水辺の市」に出店し、弁当のほか、農家から仕入れた地場野菜を販売。農業や環境保全を市民に伝えている。
 設立は1995年。国産素材中心の安心な食材を届ける「生活クラブ生協」の役員同士で、「年を取って弁当を届けてもらう時、添加物が少ない方がいいよね。だったらそういう店を作ろう」という話が出たのがきっかけだった。ちょうど子育てが一段落した40代。老後を考えて起業に踏み切った。
 「ワーカーズ・コレクティブ」とは同じ思いを持った仲間との共同事業で、全員が出資し、経営に責任を持ち、労働する協同組合。須長こうさん(76)が代表理事を務めるが、「メンバー全員が代表」と言う。それぞれのライフスタイルに合わせ、常時4人で弁当を作る。「みんな笑顔で、楽しく、元気に」がモットーだ。
 今まで続いているのは、高齢になっても活躍できる場があるからだ。「同世代が楽しく仕事をできたら、心も体も健康ですよね」と須長さん。目標は「元気で100歳までお弁当を作ること」という。一緒に働く仲間を募集中。「70歳以上の方はもちろん、年齢・性別に関係なく楽しくお弁当を作りましょう」と須長さんは話している。

地場産こだわり30年

ワーカーズ・コレクティブ キッチンとまと 越谷市蒲生東町18の13、日の出商店街。営業は月曜~金曜(祝日は休み)。注文は当日午前10時まで。越谷周辺なら注文できる。10個以上まとまれば場所により市外でも配達する。☎︎987・8088