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思いやり弁当、日本一に 越谷・中2の武藤さん考案

「おべんとうコンクール」で文部科学大臣賞を受賞した武藤さん(右)と家庭科の村主教諭
「おべんとうコンクール」で文部科学大臣賞を受賞した武藤さん(右)と家庭科の村主教諭


 闘病中の母親を元気にしたいと、越谷市立新栄中学校(原田肇子校長)2年の武藤恵莉香さん(14)が考案した「やさしいBonBon弁当」が「あなたのためのおべんとうコンクール」で見事、全国トップの文部科学大臣賞を獲得した。1月28日に開催された「第22回全国中学生創造ものづくり教育フェア(中学生ものづくり甲子園)」(全日本中学校技術・家庭科研究会主催)に埼玉県代表として出場、審査の結果、最高賞を射止めた。薬の副作用でできた肌荒れや口内炎を和らげるため新しい細胞の増殖を促進するビタミンB群を多く使うなど、思いやりいっぱいの弁当が評価された。

「闘病中の母を元気に」 薬の副作用緩和


 武藤さんは、母親で中学校教諭の敦子さん(49)が薬の副作用で思うように食事ができないことから、食で力になりたいと一念発起。同校の技術家庭科の村主(すぐり)恵子教諭(46)の勧めもあって、コンクールに参加することにした。
 まず、肌荒れや口内炎への効果を期待して、ビタミンB群を多く含む大根葉、ナッツ、バナナ、ぶりを使うことにした。そして調味料をあまり使わず、味の濃い素材を選び、食材に含まれる塩味を利用。さらに、SDGsにも配慮して地元越谷産の小松菜を使ったメニューを考えた。
 メインはビタミンBが豊富な「ぶりのゆず和(あ)え」。ぶりの切り身(約50㌘)を、日本酒を加えた水に入れ、湯通し。しょうゆとすりごま、刻んだゆずを加えた。ゆずの風味が食欲をそそるオリジナルメニューに。
 越谷市産の小松菜を使ったメニューは「ごま付き小いわしのかみかみ和え」。小松菜とほうれん草、キャベツを切ってゆでて、味付けいわしを乗せ、米サラダ油としょうゆ、砂糖を混ぜたドレッシングで和えた。このほか、ユニークなバナナのベーコン巻き、かぼちゃサラダ、大根とこんにゃくのいため煮など豊富なラインアップ。ごはんは「大根葉としその炊き込みごはん」。大根葉の食感としそでさっぱりした味にした。
 コンクールには全国から選ばれた12人が出場。メニューの説明を書いたレポートの作成と90秒以内でのプレゼンテーションをオンラインで行った。1人調理で制限時間50分間で弁当を完成させる。今回の規定課題は「魚を使った調理」を献立の中心にすること。
 武藤さんは「一番工夫したのは、母の口内炎を刺激せずに香りを楽しんでもらおうと作った『ぶりのゆず和え』。ほかのメニューも調味料を控え、味付けを工夫しました。食欲の落ちていた母がおいしいと食べてくれたので、頑張って良かった」と笑顔で話した。
 名前の「BonBon」の「Bon」はフランス語で「良い」という意味。大学でフランス語を学ぶ姉、萌香さん(20)のアドバイスで決めた。普段から料理をする父親の小学校校長、健司さん(51)からも調理のアドバイスを受け、家族ぐるみで完成させた。
 指導をした村主教諭は「以前は料理が苦手だった武藤さんが、柔軟なアイデアを出して、栄養バランスも取れた素晴らしい弁当ができた。料理が得意になったようでうれしい」と目を細めた。
 武藤さんは「将来は人をサポートする仕事について、人の役に立ちたい」と目標を定めている。