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「おかえり」の声で地元を元気に・越谷「せんげん台」2商店会

 「おかえり」、「ただいま」ーー。そんな声かけが越谷市千間台西の商店街でこだましている。人と人との距離を近づけることで商店街を元気にしようと、千間台西口商店会(永井義佑会長、会員43店舗)とせんげんパークロード商店会(田中聡会長、会員22店舗)が夕方、来店者や地域の人に声をかける「おかえり、せんげん台」運動をスタートさせた。「迎える人がいる喜びを感じてほしい」というメッセージを込めており、来店者からも好評だ。参加店では、「ただいま」と返してくれた人にささやかなプレゼントを贈っており、コミュニケーションを促進する仕掛けにもなっている。
 両商店会は東武スカイツリーライン「せんげん台駅」西口に広がる商店街。「千間台西口」は1983年設立。診療所や銀行、ファストフード、テニススクール、コンビニエンスストアなどが集まる。「パークロード」は90年設立で、駅前道路に面する美容院や居酒屋、歯科医院などが集まる。
 「おかえり」運動のきっかけはコロナ禍だった。地域の名物「夏まつり」などのイベントができなくなり、飲食店への来客も減少。「このままでは衰退する」との危機感から、地域を元気にする仕掛けを考える必要に迫られた。
 両商店会は普段から共同でイベントなどを実施してきたことから、一緒に商店街の活性化やイメージアップについて勉強会を実施。県の「商業振興関係専門家派遣事業」を活用し、昨年11月から今年2月まで両商店会の幹部計10人がワークショップやまち歩きなどに参加した。そこで、過大なコストをかけずにコミュニケーションの取れる事業をしようと、「おかえり」運動のアイデアが生まれ、ようやくコロナ感染が落ち着いたこの春、運動を実施することにした。
 参加店は3月末現在で27店舗。「おかえり せんげん台」と書いたオリジナルのステッカーを店の入り口に貼り、客が来店すると店主や店員が「おかえりなさい」と声をかける。ステッカーにはユニークなキャラクターが描かれている。「西口商店会」のキャラクター「台ちゃん」の「お母さん」をイメージしたもの。来店者が「ただいま」と返すと、このステッカーのミニ版(直径5・5㌢)がプレゼントされる。
 インドアテニススクール「リアせんげん台」を経営する「西口商店会」の永井会長(39)は、「教室に通う子どものお母さんに声をかけたら、『ふだん言われないのでよかった』と好評でした。話すきっかけにもなり、雰囲気が明るくなった」と話す。
 イタリア料理店「@Home Dining Salve」を経営する「パークロード」の田中会長(36)は「一人暮らしのお客さんに声をかけたら、『ふだん誰からも言われないので』と、とても喜ばれた。お客さんが笑顔になるとうれしい」と話す。
 両商店会が目指すのは「あたたかい街」。当初の予定は3月23日から30日までの期間限定だったが、好評のためしばらく続けることにした。今後は地域にある埼玉県立大学とも連携し、新しいイベントも企画していく計画だ。「地域や商店街での思い出を通して、子どもたちにふるさとをつくってあげたい」というのが両会長の願いだ。