越谷市で子ども食堂を運営する 青山享美さん（４８）
越谷市越ヶ谷本町８の３の越ヶ谷こどもかふぇ食堂｢ぽらむの家｣には毎週月曜の午後５～７時、食事を予約した子どもたちが集まってくる。提供するのは、寄付された食材で、ボランティア約10人と作った弁当１００食。大学生以下１００円、大人は３００円。持ち帰る人、食堂で食べていく人、食材を持って帰る人とさまざまだが、利用者と話をするのが大事な役目で、生きがいだ。
｢夢は口に出すとかなう。できなければ誰かが助けてくれる｣。子ども食堂を立ち上げた時がそうだった。約８年前、離婚した自分を振り返り、｢私みたいに苦しんでいる人にご飯を食べさせたい｣と口にした。すると、行きつけの店から｢定休日に店を使っていいよ｣と声がかかり、近所の家庭菜園から食材ももらえることになった。手伝いにきた明治安田生命の人に就職先を探していると話すと、子ども食堂をやりながら働けると言われ、同社の社員になれた。
当時６歳と４歳の子どもを抱え、金銭的ゆとりはなかった。子どもに食べさせ保育園に預け、迎えに行っておかずを１品作って夕飯を出す毎日。子どもはご飯を待てず、菓子パンを食べて寝てしまう。ふがいない。自分を何度も責めた。
でも今は違う。シングルマザーだから、難しいからではなく、やるための方法を考える。今年、奨学金を満額借りて長女を私立高校に入学させた。
三重県出身。５人姉妹の４番目。小さい頃からリーダー的存在だった。
外資系会社に勤め、30代で部長を経験。年収９００万を稼いでいたことも。｢つらい｣という言葉を吐けなかった時代だ。もうそのプライドは捨てた。｢離婚したんだ。つらいんだ｣と口に出した途端、すべて吹っ切れたという。
今後は、苦しかった自分のようなママの居場所を作りたいという。６月には移動子ども食堂もスタートさせる。
｢あるのは情熱だけ。常に考え、言いまくると、芯が固くなる。私はブレない。そうするとかなっていく｣。その笑顔はいつもキラキラ輝いている。
(川副 都)