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草加市/獨協大生と福祉事業所が新商品開発

 草加市にある知的障害者のための障害福祉サービス事業所「つばさの森」と、獨協大学の高安健一教授(経済学部経済学科)のゼミ生が、コラボしてマドレーヌの新商品を開発した。6月16日に同大キャンバスで販売したところ、コラボ商品を含め用意した600個がたちまち完売した。商品を開発した学生らは「食べる社会貢献」を掲げ、「学生の購買力は地域貢献につながる。活動の意義も知ってもらい、施設の売り上げにも貢献できれば」と期待を寄せている。

獨協大学のキャンパス内で、コラボ商品を販売する学生(右)と購入する学生ら

既存のマドレーヌを改良、利用者の工賃向上へ 学生の購買力生かす

 初のコラボ企画に参加したのは全員、経済学部生で、リーダーの安藤清楓さん(20)、山川穂乃佳さん(21)、横島もえさん(20)、上原未来さん(20)、小松衛さん(20)、小林祐輝さん(20)の6人。

 「つばさの森」は知的障害者への「生活介護事業」や「就労継続支援B型事業」を行っており、マドレーヌを製造・販売してきた。だが、小麦粉や卵など原材料の高騰などで収入が減少。事業所利用者に支払われる工賃も下がっている。
 同事業所を運営する「草加市社会福祉事業団」の生活支援員、中村綾子さん(55)は商品開発の担当者で、昨年11月、試行錯誤の末、新商品の「メープルマドレーヌ」を完成させた。だが、新しいアイデアに行き詰まりを感じ、事業団事務局の竹城満博局長に相談したところ、「学生の力を借りてみては」と、高安教授を紹介された。

 リーダーの安藤さんがチームの指揮を執り、約1か月半で「ナッツ入りチョコマドレーヌ」(120円)と「プチミックスマドレーヌ」(150円)2種の計3種類を考案した。
 「ナッツ入り」は貝殻型に変更。元の丸形より小さくなったが、カシューナッツを加え、風味や食べ応えをアップさせた。材料の使用量を抑えつつ、満足感が得られるように工夫した。
 「プチミックス」はチョコとイチゴ、抹茶とプレーンの2種類。2つの味を一度に楽しめるようにした。既存商品を組み合わせたものだが、元々売れる商品に差があって食品ロスになりやすかったのを解消した。

 安藤さんは「学生の購買力を地域貢献に生かせるのではと、ターゲットを学生に絞った」。インスタグラムで情報発信し、今年1月にもキャンバス内でコラボ商品を販売し完売した。
 今回は「ナッツ入り」150個、「プチミックス」チョコ×いちご90個、抹茶×プレーン70個を含め計600個を用意したが、販売開始前に学生らが列を作り、一般市民らも加わって、瞬く間に完売した。

当日、販売に参加した安藤さん率いるチームの学生ら(後列、後列右は高安教授)と「つばさの森」の利用者ら

 中村さんは「学生らの購買力は毎回すごい」と驚き、「学生が商品開発に新たな風を吹き込んでくれた」とよろこび、安藤さんは「材料費や利益率を考えながら、なるべく製造する利用者らに負担がかからない商品を開発するのが大変だった」と述べ、「売り上げ約8万円が工賃の足しになればうれしい」と笑顔を見せた。

 高安教授は「施設利用者の働きがい向上、食品ロスが少ない製造プロセス、大学と施設のパートナーシップなどSDGsにもつながった」と評価していた。
 コラボ商品のマドレーヌなどは「つばさの森」などで購入できる。
 <問い合わせ>つばさの森☎935・5678。