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主婦が一念発起人気店に 草加・「ひよこベーグル」

自宅古民家利用し週1日

一人で切り盛りをする秋元有子さん
一人で切り盛りをする秋元有子さん


 毎週木曜日だけ開店するベーグルの専門店「ひよこベーグル」(草加市八幡町999)が地元で大人気だ。専業主婦が元農家の自宅古民家を利用して昨年6月にオープンすると、口コミやSNSでたちまち評判が広がり、お客さんが殺到。約25枚の整理券が毎回瞬く間になくなる人気店に成長した。家事や家族の世話だけでなく、自分の時間を持つことが大切と言われるが、まさにその好例。オーナーは「新商品を考えている時が幸せ」と充実した日々を送っている。

管理栄養士の資格生かす 食材や製法こだわり


 このオーナーは秋元有子さん(54)。共立女子大学家政学部出身の管理栄養士だ。結婚後、資格を生かして料理教室講師の仕事をしていたが、義父母の高齢化で仕事を辞め家庭に入った。だが、専業主婦の時期が数年続くと、何かしなければという焦りが生じ、「やるなら今しかない」と決意。義母を説得した。
 数年前友人からもらったベーグルに衝撃を受けた。「柔らかくて、具がたっぷりで。硬くてかみ切れないと思っていたのに、いつの間にかこんなに進化していたなんて」。店の主力商品は、大好きなパンと料理、どちらの要素も入っている具入りベーグルに決めた。
 オープンしたての頃は、1日45個しか焼けなかった。客への販売個数制限も設けていなかったため、購入できない人から不満が出た。「お客さまから整理券配布や個数制限をアドバイスされて今の形になった」と笑う。今は100個程度を焼いている。
 すべて一人で切り盛りしている。「人を雇うほどの大きさにしない」「赤字にしない」「やらせてくれた義母に迷惑をかけない」がモットーだ。
 だからこそのこだわりもある。いくつものパン講習会に通った知識を生かし、前夜に10時間かけて1次発酵、当日さらに40分~1時間、2次発酵させて生地を作る。小麦粉は北海道産。具材に使う鶏肉や豚肉なども仕入れられるものはすべて国産。北海道産の小豆は煮てから4~5時間かけてこねる。みそやコチュジャンも手作りで、ナスや玉ねぎは畑で採れる無農薬野菜だ。
 「昔ベーグルははさむイメージだった。でも今は中に具を入れる。それを知ったら面白くて仕方ない。組み合わせは無限大」とうれしそうだ。
 人気商品は「コーンチーズ」と「Wチーズガーリック」が定番で、他には「明太ポテト」「イチジク&クルミ&クリームチーズ(全粒粉生地)」「シナモンアップル&ラムレーズンクリーム(寒い時期限定)」などが売れ筋だ。
 月1回だけ続けてきた親子料理教室は21年目、年1回のパン教室は16年目に突入した。
 「家にだけいる時は心が折れたりしたけれど、あれがあったから今、開店できた。義父母には感謝している」
 専業主婦からの職人への転身には周りからの応援や温かさが散りばめられていた。

自宅古民家を利用した「ひよこベーグル」
自宅古民家を利用した「ひよこベーグル」