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八潮市/八潮でサミット 「方言漢字」から地域や風土を考える

早稲田大学・笹原教授が講演 完成した事典も紹介

 「第6回方言漢字サミット―漢字から日本の風土を考えよう❢―」が19日、八潮市の八潮メセナ・アネックスで開かれ、市内外から約70人が参加した。来場できない人のためにオンライン配信も行われた。
 同サミットは市民団体「八潮の地名から学ぶ会」(長谷田忠夫会長)が主催。話し言葉に「方言」があるように、特定の地域文化を象徴する「方言漢字」があり、これをまちづくりに生かそうと、2017年から毎年開催している(20年はコロナ禍で中止)。

自身が編著書した『方言漢字事典』について話す笹原教授

 最初に日本製漢字である国字研究の第一人者、早稲田大学の笹原宏之教授が、「完成した『方言漢字事典』を通して伝えたいこと」をテーマに基調講演を行った。『方言漢字事典』(四六判、292㌻)は笹原教授が編著者を務めたもので、同サミットにも参加する有志11人が原稿や写真を寄稿した。笹原教授は「漢字辞典に掲載されていない、あるいは掲載されていてもほとんど触れられていない文字を取り上げた貴重な事典」と述べ、「自分一人では出来なかった。仲間の大切さ、力を合わせる重要さを再認識できた」と謝辞を述べた。

 続いて、県内の釼持一幸さんが「方言漢字『●(土偏に赤、はけ)』の用例とその異体字」、京都府の西嶋佑太郎さんが「地域の景観と医学分野の『頸(くび)』と『頚(くび)』」、同会事務局長の昼間良次さんが「埼玉県八潮市の方言漢字『垳(がけ)』の地域性を考える」について報告し、10月29日に行った「方言漢字ウォーキング大会」の様子も発表した。

 その後、「方言漢字書道展」に寄せられた「泗(し)」「汢(ぬた)」「●(男偏に老、じじ)」「●(魚偏に花、ほっけ)」「淞南(しょうなん)」など9作品について、笹原教授が文字の意味を解説しながら講評。最後に質疑応答や意見交換などが行われた。
 参加者は日頃なかなか見聞きできない地域の方言漢字にも触れられ、満足した様子だった。