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越谷/漫才で生きる力育む授業 ネタ作りで対話力向上

いじめや不登校なくす

越谷市の元校長 田畑栄一さん
越谷市の元校長 田畑栄一さん

 越谷市立小学校の元校長、田畑栄一さんが、漫才を通して子どもたちと向き合い、不登校・いじめ・自殺をなくす「教育漫才」の活動を展開している。一般財団法人「Lauqhter(ラクター)」で教育コンサルタントとして活躍しているほか、昨年10月から来月にかけて、著書「教育漫才のススメ」3巻シリーズを相次いで出版。越谷のコミュニティーFMの番組でも教育漫才について触れている。「漫才は笑いで学校を変え、子どもたちの生きる力を育む」と普及に力を入れている。
 田畑さんが「漫才」を小学校の授業に取り込んだのは、同市立東越谷小学校の校長に就任し、児童の不登校があまりにも多いことに驚いたのがきっかけだった。専門である国語の授業で「話し合う力」をやりたかったことや、前年にさいたま市大宮区に吉本興業が運営する劇場ができたことから、試しに授業に「漫才」を取り入れた。すると、児童たちにとても好評で、不登校の児童も学校に通い始めた。
 「教育漫才」は、いじめで典型的な「死ね」「ウザイ」などの言葉の暴力とは対照的に、コミュニケーションで人を笑わせるのが特長だ。
 授業ではまず、チームをくじ引きで決める。次にタ作り、ネタ合わせ。きょうだいがいれば、ペアでネタを見せ合い、互いにアドバイスする。その上で、いよいよ学級教育漫才大会開催という運びだ。
 よく知らない者同士が組むことで、友だちの新しい一面を発見して相互理解が深まる。ネタ作りは家庭にも持ち込むため、家族の会話が増えることも。発表会で披露したネタで観客が笑えば自信がつくし、観客は笑って楽しくなるという相乗効果が生まれる。すると、いつしか児童が主体的に自走するという。
 「最初やった時から手応えを感じていた」と田畑さん。学校が子どもたちに寄り添う、居心地の良い場所であれば、毎朝安心して登校し、授業を意欲的に受けると確信しているという。

「笑い教育」普及へ全国奔走

 昨年3月に教職を離れると、4月には、教育落語家、楽亭じゅげむ(本名・小幡七海)さんが立ち上げた「Lauqhter」に誘われて所属。「『笑い教育』普及コンサルタント」として講演に研修講師にと活躍している。さらに、不登校・いじめ・自殺をなくすため、笑顔あふれる学校を作ろうと、茨城、大阪、愛知、秋田など全国を奔走している。
 こしがやエフエム(FM86・8メガヘルツ)の冠番組「タバティの絶好調」(毎週金曜午前10時30分~11時)では、教育パーソナリティー「タバティ」として教育問題に取り組んでいる。「学校教育やいじめなどで疑問を持っている人は番組に声を寄せて」と話す。
 今月28日には午後12時45分から越谷市レイクタウンの「水辺のまちづくり館」で公開収録も予定されている。
 「教育漫才のススメ」シリーズは、第1巻「漫才をマナベ!」、第2巻「漫才をミガケ!」が発売中。第3巻「漫才をタメセ!」が2月26日に出版予定。いずれもフレーベル館刊。