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国登録有形文化財に八潮市の3件答申

 国の文化審議会(佐藤信会長)は11月19日、八潮市の「恩田家住宅主屋」「恩田家住宅蔵」(共に同市二丁目)、「八條八幡神社本殿」(同市八條)の3件を国登録有形文化財(建造物)に登録するよう、文部科学大臣に答申した。同市内の国登録有形文化財(建造物)は初めて。

 恩田家は、明治・大正期に染色業を家業としており、主屋は木造平屋建て、寄棟づくり桟瓦葺(さんがわらふ)き。1917年(大正6年)の建築。屋敷林も残る。西側の庭園に近い3室につながる部分を独立した式台玄関ではなく、客座敷前面に出入口風に設けた玄関のある間取り。当時の地域の農家建築の代表的なものとされる。

 同家蔵は木造真壁造り、桟瓦葺きで1897年(明治30年)の建造。内部を2層にし、下層は米などの貯蔵庫として使われた。ひさしにつるされた船は、川で染料を洗い流す染色作業用で使われ、河川決壊時には水害時予備船としての役割も果たした。

 八條八幡神社本殿は、1891年(明治24年)に再建されたもので、江戸期の社寺建築に見られる竜や鳥獣、水波紋様、魚類などのさまざまな彫刻が施されている。89年(同22年)公布の大日本帝国憲法の発布式や御前会議の様子を題材とした彫刻は珍しいとされる。

 同市文化財保護課は「八條八幡神社の本殿の彫刻は、明治期の社会情勢を反映し希少なもの」という。