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草加・清門小 思い出刻む「手話校歌」

 ♪みどりの風も さわやかに 学びの庭に 朝がくる――。3月24日、草加市立清門小学校(鈴木英治校長)での卒業式で、6年生185人が校歌を手話で披露した。コロナ禍で合唱が制限される中、「草加市手話通訳問題研究会『手話友の会』」(大津裕子代表)と、「草加市聴覚障害者協会」(加藤聡一会長)が、学校側に全面協力してユニークな手話校歌が誕生した。マスク姿の卒業生らは、保護者や教職員らが見守る中、歌詞に合わせて手話を披露した。開校46年の歴史に新たなページを刻む「手話校歌」に6年間の思い出を託し、卒業生たちは元気に羽ばたいていった。

卒業式で「手話校歌」を披露する6年たち

 「手話校歌」を発案したのは同校の小林和美教頭(55)(現・同市立花栗南小学校校長)。昨年春に赴任した小林教頭は、「児童らが歌う校歌を楽しみにしていたが、昨年の卒業式や今年の入学式でも、校歌を歌う光景はなかった」と当時を振り返る。

 昨年4月、小林教頭は、コロナ禍のために音楽の授業で取り入れていた手話に着目。「校歌を手話で表現することはできないか」と、同市社会福祉協議会に相談したところ、「手話友の会」と「草加市聴覚障害者協会」の協力を得ることができた。両メンバーらは、校歌の歌詞の意味を考えながら、その情景が目に浮かぶ表現や、リズムに合わせた手話となるように“意訳”し、打ち合わせを繰り返しながら手話を作り上げた。9月には、「手話校歌」の動画も完成した

 卒業生だけでなく、全学年の児童らも、各クラスや家庭で動画を見ながら手話校歌を覚えたという。

 卒業生の田澤怜大君(12)と神林純芽さん(同)は「本心は校歌を歌いたかったが、手話校歌はとてもよい思い出になった」と喜ぶ。卒業式を見届けた小林教頭は、「手話で表現された歌詞の意味を考えながら、校歌と向き合った子が多かったと思う。手話を学ぶよい機会にもなった」と“もう一つの校歌”に手応えを感じていた。

15 日にはお礼の手紙なども手渡された

 卒業式前の同15日には「草加市聴覚障害者協会」メンバーの飯田勝巳さん(66)らが同校に招かれ、児童代表4人が「手話校歌」を披露した。飯田さんは「コロナ禍でなければ直接教えたかったが、かわいらしくてとても感動した」と笑顔だった。児童代表の一人、宮村海李さん(12)は「校歌を手話にしたことで、手話に一層、興味をもつことができた」と飯田さんらに感謝の気持ちを伝えた。