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越谷の精神科病院が避難所に・県内初、障害者ら支援

 越谷市は9月22日、同市七左町の医療法人「秀峰会」(中村吉伸理事長)と「災害時における福祉避難所の施設利用に関する協定」を締結した。同会が運営する精神科の病院「北辰病院」を福祉避難所として利用するもので、県内の精神科の病院が避難所に指定されるのは今回が初めて。医療機関としては4か所目。昨年5月の法改正で、高齢者や障害者らが直接、福祉避難所に避難することが可能になっており、今回の締結で障害者への避難支援体制が拡充された形だ。

 福祉避難所とは、手助けが必要な高齢者や障害者などの要支援者が、円滑に避難生活を送れるよう、相談支援などの体制や機能が整備された避難所のこと。
 当初は、いったん一般の避難所に入った後、受け入れ態勢が整ってから移る「二次避難所」とされていたため、福祉避難所に落ち着くまでに時間がかかった。だが、昨年5月の災害対策基本法改正に伴い、国の「福祉避難所の確保、運営ガイドライン」が改定され、高齢者や障害者らが最初から福祉避難所に直接避難することが可能になった。特に精神障害者は、大勢の中で生活するのが難しく、周りの声や物音で睡眠を取れずに状態が悪化することも懸念されるため、福祉避難所への直接避難は利点が多い。

 同市内では現在、老人福祉センターなどの公共施設や民間の特別養護老人ホームなど24施設が福祉避難所に指定されているが、病院はなかった。
 そんな中、同会から、北辰病院を災害時の福祉避難所として利用してほしいとの申し出があり、協定締結に至った。これで、同市内の福祉避難所は計25施設となった。
 同市役所で行われた締結式で同会の中村理事長(75)は「40年前に開院するとき、『精神病院だから』と周辺住民から反対運動もあり、粘り強く住民を説得してやっと開院できた。その時、医療機関として地域の役に立ちたいと誓った。ようやく実現できた」とあいさつした。

 同病院は2011年6月、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大船渡市と陸前高田市にボランティアの「こころのケアチーム」を派遣した。医師や看護師、カウンセラー、事務員らで10人前後のチーム7班を編成。約4か月にわたり避難所と仮設住宅を訪れ、被災者のケアに当たった。精神科の医師でもある中村理事長が陣頭指揮に当たった。
 多くの被災者が津波で肉親や友人を失うなど過酷な体験から自責の念に悩む人が多く、避難所内に「ケアルーム」を設けた。同病院から延べ1158人が被災地を訪れた経験が、今回の福祉避難所開設へとつながった。

 福田晃・越谷市長は「近年の災害で多くの高齢者や障害者が犠牲になっている。市も福祉避難所の指定を進めているが、大規模災害時に行政だけで対応するのは困難。秀峰会との連携と福祉避難所の体制が強化され、大変心強い」と話していた。