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踏み間違い防止装置 市民参加で公開テスト 

「ドライビングシミュレーター」をテストする 学生たち(左は楓准教授、その隣が藤森社長)=埼玉大で=


 越谷市の自動車部品メーカー「明和」(藤森正信代表取締役、同市東越谷)と埼玉大学大学院理工学研究科(さいたま市桜区)が、共同研究で開発したペダル踏み間違い防止装置の効果を市民に体験してもらうため、26、27日に越谷市立総合体育館で開催される「こしがや産業フェスタ」で「踏み間違いテスト」を実施する。この装置はすでに特許を取得しているが、これまでの実験は学生たちが行ったもの。ドライバーの年齢、性別などさまざまな走行シーンでさらに安全性の立証研究を続けるために実施する。こうした装置の公開テストは全国的に珍しいという。

 「明和」は2019年夏、運転支援装置「アクセル・ブレーキ踏み間違い軽減フットレスト『ペダル奉行』」を開発した。アクセルとブレーキには手を加えず、左足を乗せる既存のフットレストに、強化プラスチック製カバー(長さ27㌢、幅13㌢)をかけてビスで固定。その上にゴム製の滑り止めマットを張り付けた。カバーの右端に高さ3・4㌢の「壁」があるため左足がずれにくく、ほぼ固定されることで、「正しい運転姿勢が保て、踏み間違いを防げる」というユニークなアイデアだ。

 装置の有効性を確認するため、埼玉大学の研究機構「オープンイノベーションセンター」に相談したところ、同大大学院理工学研究科の楓和憲(かえで・かずのり)准教授(42)が興味を持ち、一昨年4月、共同研究をスタートさせた。「ドライビングシミュレーター」を開発して実験を重ねた。アクセルとブレーキペダルはトヨタ・プリウスのものを正確に再現。大学院生たちは運転動作に連動する映像をVR(仮想現実)で作った。大型モニターと連動したシミュレーターで運転し、足の動きをミリ単位で細かく計測したという。
 運転実験は主に20代の男子大学院生たちが担当。市街地や郊外などさまざまな場所を走り、信号機や踏切などでブレーキを踏めばモニターの景色も止まる。昨年9月まで続けられた。
 この結果、「『ペダル奉行』を使うことで、アクセルとブレーキの位置を把握しやすくなり、踏み間違いを防ぐ効果があることが実証された」(楓准教授)という。

 しかし、共同研究の期間中は、新型コロナウイルスの影響で学生以外の実験はできなかったため、楓准教授は「今後は高齢者を含めたさまざまな年齢層や体格のドライバーで実験を重ね、精せい緻ちなデータを取得していきたい」としている。
 同社の藤森社長(62)は「点字ブロックからヒントを得た商品。楓准教授らの熱心な研究で効果が証明されてよかった。誰もが自信を持って運転できる支援装置になるよう研究を続けたい」と話している。

 公開実験はドライビングシミュレーターを持ち込んで実施する。60代以上の市民を対象に参加(事前申し込み制)してもらう。VRゴーグルを使って、「運転体験」。センサーを使い、ペダルの踏み方のズレなどを計測する。定員は10人。実験時間は約30分。両者はまた、共同研究で別の踏み間違い防止装置「アクセルブレーカー」も開発している。その体験ができるブースも会場内に設ける。
 「公開実験」は運転免許のある60歳以上が対象。参加費無料。希望者は事前に「明和」まで申し込む。
 <問い合わせ>明和☎966・3551。