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市民が「踏み間違いテスト」 明和と埼玉大共同研究の装置

埼玉大学大学院生が作ったドライビングシミュレーターを使って「踏み間違いテスト」をする市民


越谷産業フェスで

 車のアクセルとブレーキの踏み間違いを防止するユニークな装置の効果を市民参加で測定する「踏み間違いテスト」が11月26、27日の両日、越谷市立総合体育館で開催された「こしがや産業フェスタ」で実施された。
 この装置は、自動車部品メーカー「明和」(同市東越谷、藤森正信代表取締役)と埼玉大学大学院理工学研究科(さいたま市桜区)が共同研究で開発した「ペダル奉行」。すでに特許を取得している。だが、これまで実験は20代の学生たちによって行われてきたことから、ドライバーの年齢、性別などをさらに広げて研究を続けるために今回のテストが企画された。こうした装置の公開実験は全国的に珍しいという。
 同装置は、運転の際に左足を乗せる「フットレスト」を加工することで踏み間違いを防ぐもの。既存のフットレストに強化プラスチック製カバーを固定し、その上にゴム製の滑り止めマットを張り付けた。カバー右端に高さ3・4㌢の壁があるため左足がずれにくく、「正しい運転姿勢が保て、踏み間違いを防げる」というアイデア。
 同装置のテストは、トヨタ・プリウスと同様のアクセルとブレーキペダルに、ハンドル、シートを備えた”模擬運転席”のような「ドライビングシミュレーター」を使って行われた。VR(仮想現実)技術で作られた映像は運転動作に連動。足の動きをミリ単位で計測できる。
 テストは事前に応募があった60歳以上の市民11人で行われた。手足にセンサーをつけ、ゴーグルでVR映像を見ながら”運転”してもらい、さまざまな場面の足の位置をセンサーで計測した。テストに参加した無職、宮崎幸次さん(73)は「慣れないVRゴーグルをつけてのテストだったが、映像がきれいで本当に運転している気分。『ペダル奉行』があれば姿勢のずれは少なかったと思う」と感想を述べた。
 藤森社長(62)は「イベント参加で広く周知できた。今後は試乗会を開催し、多くの方に体験してもらいたい」と強調。共同研究を指揮する、同大大学院理工学研究科の楓和憲(かえで・かずのり)准教授(42)は、「データ解析はこれからだが、高齢ドライバーを迎えてテストできたため、大変貴重なデータが取得できた。ペダル操作の際に足をどのように動かしているか、普段はあまり意識しないが、改めて運転姿勢などに注意してもらう機会になれば」と話していた。
 楓准教授らは今後、さらにデータを分析し、製品の効果を数値化していく方針だ。

アクセルブレーカー 予約スタート

 明和は同大学大学院との共同研究で9月に開発した、「ペダル奉行」とは別の踏み間違い防止装置「アクセルブレーカー」の予約販売を12月から開始。自社の車で試乗体験も始めた。
 この製品はアクセルの部品にマグネットを使った遮断機能をつけ、必要以上に踏み込むとこれが働いてアクセルを戻し加速しないようにするもの。両者は共同で特許を出願しているほか、国際特許も出願中だ。
 この製品は、ばねを作る松伏町の「富山スプリング製作所」(冨山広一社長)とステンレス板金加工の八潮市の「タンポ」(丹保守社長)の協力も得た。
 販売価格は3万円(取り付け工賃5000円)。車種はトヨタのアクア、プリウス、カローラフィールダーやダイハツのムーブなど。体験試乗は要事前予約。
 <問い合わせ>明和☎966・3551。