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阿炎、悲願の初優勝 「越谷の誇り」地元沸く

初優勝した阿炎のパネルなどが設置された市役所ロビー


 大相撲九州場所は千秋楽の11月27日、越谷市出身で平幕の阿炎(あび)(本名・堀切洸助)(28)(錣山部屋)が大関・貴景勝、平幕・高安との3人の優勝決定戦を制して初優勝を果たした。埼玉県出身の力士の優勝は、昨年、初場所の大栄翔(朝霞市出身)以来、史上2人目。出身地の越谷市では市民から喜びの声が聞かれた。

 阿炎の恩師で、同市立大相模中学校で3年間、担任教諭を務めた杉野正純(まさずみ)さん(60)(現・杉戸町立東中学校校長)は「(阿炎関は)学校では元気なムードメーカー。人の気持ちのわかる家族や友人を大切にする性格だった。大相撲に入っていろいろあったが、よく頑張った」と喜んだ。
 杉野さんは阿炎を大会に出場させるため、中学校に新たに「相撲部」を作り、顧問兼監督として大会に引率した。”1人相撲部”だったが、3年生の時に県大会で優勝。全国大会では見事3位となり、実力を発揮した。
 相撲は越谷市のわんぱく相撲で小学1、2年生の時に優勝したのを機に、隣の草加市の「草加相撲練修会」に入会して力をつけた。

 越谷市役所には身長1㍍87㌢の阿炎の等身大パネルが飾られ、11月28日に「初優勝おめでとう」と書かれた横断幕も掲げられた。メッセージノートも置かれ、市民から「越谷のスターで若者の手本になりました」「市民の誇り」などとメッセージが寄せられている。
 市役所を訪れた同市花田の無職、稲葉千鶴さん(76)は、「優勝決定戦の取り組みはすごかった。感動しました。さらに活躍すれば越谷のことを知ってくれる人も増えると思うので、さらに頑張ってほしい」と喜んでいた。

 阿炎は、長い腕を生かした力強い突き押し相撲が持ち味。今年7月の名古屋場所の後、右ひじと左足首を手術して秋場所を休場。今場所は休場明けだったが、得意の力強い突き押し相撲を見せた。照ノ富士の休場で横綱不在だった今場所は、前頭9枚目の阿炎が三役経験者の実力を示し、悲願の初優勝を果たした。

 同市の福田晃市長は「ついに勝ち取った幕内の舞台での優勝に、見ている私たちも感動と興奮が抑えきれませんでした。阿炎関の相撲は多くの市民の方に『勇気』と『元気』を与えてくれます。今後も今場所の相撲のように、相撲道を突き進んでください」というコメントを発表した。